JBL4429購入しました

新しくスピーカーを購入しました。
JBLのスタジオモニター4429です。JBLのSPと弊社製品との相性はいいと思います(レコード時代の4343等は別として)。というのもお客様の方で4338(弊社アンプをご購入される方はこの辺のクラスをお使いの方が多いです)あたりを使用して、弊社製品を購入された方は決まって非常にいい評価を返してくれますのでよくわかるのです。4418と弊社プリ+パワーを組み合わせた方で感激されていたお客様もいらっしゃるので合うんじゃないかとは思っていました。4429は新しいモデルですが、その前の4428は店頭などでもチョイ聞きしてイイナーと思ってはいました。ただ恥ずかしながらJBLを所有した事はこれまでありませんでした。

これまでここ1年くらいはフォーカルの826Vをメインに使用してきました。826Vはこれはこれで非常にいいSPなのですが、4429はフォーカルとはまた違った良さがあり、所有するSPとしてはいい組み合わせではないかと思っています。本当はリファレンスになるくらいのもう少し大型のSPが欲しかったのですが、ショーなどのデモに持ち運ぶ事を考えるとこの位の大きさが限界です。

え、音ですか?、・・・・・いいです。
お客様が絶賛されるのも(どっちを?)良くわかりました。
どういいかは又今度じっくりレポートしたいと思います。
5/21からのハイエンドショウで弊社アンプとの組み合わせをお聞かせできると思いますので、興味のある方はご来場いただければと思います。

<追記>
その後4429の置き方を検討して、さらにぐっと良くなりました。中低音域の厚みとなめらかさは、かつて聞いたことがないほど良くなりました。

設置した様子、台も一緒に買いました
部屋に入れるとこれでも結構でかいです

CDプレーヤーが言いました「私脱いだら凄いんです」 -知っているようで知らないCDプレーヤーの怖さ-

CDプレーヤー(CDP)の歴史はもう長い、30年近くなる。なので相当進化したはずだ・・・と思ったら大間違いで、いまだ16ビットの淵をさまよっているというか、ひどい事になっているような気がする。

そんな事はない、ハイエンドのDACチップはダイナミックレンジが120dB以上あるし、最近は32ビットのDACチップもでてきた、FIFOでジッターを減らす技術も取り入れられているものもあるし、マスタークロックを入れればもっと良くなるetc.。

でも調べてみるとCDPの動作は目も当てられない状態になっているというしかない。調べているこちらの装置の状態がおかしいのじゃないかとまず疑わなければいけないくらいだ。一番すごい事になっているのはDAC以降の回路動作だが、そこはまだおしゃべりできないので、今回はデジタル回路の部分について紹介する。

ここで問題です。

これは何の波形でしょうか?

wave.jpg

ここでご愛読のお礼におまけを一つ、
ずばり当たった方は弊社製品購入の機会がありましたら2割引きします。–>締め切りました。

(ただし最大割引料金3万円まで、2割引の有効期限1年間、コメント欄に正解を記入していただいた方に限ります。先着3名様まで、次回執筆時までの期限限定で)—>締め切りました。
注:コメント欄に個人情報は書かないで下さい。
答えは次回執筆時に。答えはマスタークロックです。出題後、1時間もしないうちに正解の回答をいただき正直面食らいました。

同じ波形を時間軸も入れて見せるとこうなります。

clk320.jpg マスタークロックの波形11.3MHz, 40ns/div

CDのサンプリング周波数(Fs)は44.1Khzですが、CDPのデジタル出力をDACに入れると専用に設計されたレシーバーICがこのFsの256倍の11.2896MHzのマスタークロックを作ってくれて、DACチップに渡すようになっています。本来マスタークロックは矩形波のはずですが、実際にはこんなに鈍っていた。11MHzの矩形波を綺麗に伝送するには最低でも5倍できれば10倍以上の帯域が必要で50-100MHzの帯域がないと矩形波にならない。なので結構難しい事なのかも知れない。CPUやメモリーの様に0、1が伝わればいいならば鈍っていて問題ないので簡単だが(といっても最近のようにGHz帯になると簡単ではないだろうが)、ジッターを問題にするとなると立ち上がり、立下りが急峻でないといけないので事態は深刻になる。

使用したレシーバーのクロックに対するジッター性能の仕様は0.2nsで上図の1目盛り(DIV)の1/80だ。本当にそれだけのジッター性能があったとしても波形がこれだけ鈍っていたらDACで受けたときにジッターは100倍くらい悪くなってもおかしくない。そもそもデジタル回路はトランジスタのON・OFFだけを取り扱うので、そのON・OFFをどの閾値で行うかは極めてあいまいなのだ。

何が言いたいかと言うと、マスタークロック周りで重要なのは発振部のジッターの小ささではなく、波形の質(立ち上がり、立ち下がり)、伝送経路の高周波領域の完全性という事だ 。言い換えればジッターを抑制するのにジッターの小さな発信器を使用しても必ずしも効果は期待できず、むしろ波形の質、ドライブ能力などに着目した方がジッターが抑えられるという事だ。

ついでにいただいたコメント(クイズの回答)に対しても解説しておく。乱れた矩形波信号ではないかという回答があったが、CDPの矩形波応答はこんな感じだ。

sa1lpf-1khzsq.jpgCDPで再生した1KHz矩形波信号波形

sa1lpf-5khzsq.jpg CDPで再生した5KHz矩形波信号波形
CDの場合、20KHz以上がスパッとなくなっているのでリンギングがある様に見えるがこれは正常で仕方が無い事なのだ。5KHzになると5KHzと3倍の15KHzの合成波になるから、もう正弦波丸出しという感じになる。

実を言うとこの波形はかなりいいほうで、実際にはCDPのアナログ周りはもっと悲惨な事になっている。その辺の事情は自社製DACを出す際に紹介するつもり。

 【内容の修正とお詫び】

内容に測定上の誤りがありましたので修正させていただきます。コメントを頂き再度調べてみましたが、測定時に初歩的な間違いをしていました。

オシロのプローブを1:1(プローブの入力Z1MΩ、46pF)で測定していたのですが1:10(10MΩ、12pF)で再測定したら、システムクロックはこの様になりました。

sclkx10prb11p3mhz.jpg 11.3MHzのシステムクロック波形(この波形は48Khzfs入力時のシステムクロックです)

プローブ:TEXAS製250MHzプローブ

オシロ:200MHz(5Gs/s)SDS200A
波形は綺麗とはいえませんが立ち上がりはそこそこ鋭くデジタル信号としては十分だと思います。10MHz帯になると10pFの容量でも数KΩの負荷になるので重たくなってしまうのです。1:10のプローブでも真の波形が取れているかは怪しいかもしれません。オーディオアンプなどですともともと駆動能力があるので、数pFの容量では影響を受けないのですがロジック系のICは負荷が軽い事を前提に作られているので、この辺はもっと気をつけて調べなくてはいけませんでした。お詫びと共に訂正させていただきます。 100MHzのアナログオシロだと上図の波形を少し丸くした感じなります。

ちなみに96Khzのサンプリング周波数に対するシステムクロック波形は次の通り。

sclk96hzx10prb22p6mhz.jpg  22.6MHzのシステムクロック波形(この波形は96Khz fs入力時のシステムクロックです)

かなり怪しい形だが何とかいけそうな感じです。

今後ともよろしくお願いいたします。

ハイエンドショー東京2010に出展しますので

今年もハイエンドショー東京2010春(5/21-5/23)に出展します。

今回は特に新製品はないのですが、音の出口と入り口を向上させて肝心の出てくる音を良くしたいと考えています。

入り口はPCと試作段階のDACを使用するつもりです。DACは試作段階ですが現状でもこれまで使用していたX-30、DCD-SA1などよりもずっと良くなっていると思います。どういいかというとCDP特有の中高音にかたよった帯域バランスが改善されているというか、おとなしい音になっています。高音域のうるささがかなり改善されているので、結果的に低音が心地よく聞こえます。ただ会場で鳴らすといつもややうるさい方向に変わるので、どの程度効果があるかはふたが開いてみないとわからないのですが、前回よりもよくなる事は間違いないと思います。

出口に関してはJBLのスピーカーを購入しましたのでフォーカルの826Vに加えてJBLを鳴らしてみたいと思います。

プリアンプ、パワーアンプに関しては従来と同じなのですが、会場ででている音を良くして説得力あるデモにしたいともくろんでいます。

やはり最終的に「あそこは凄かった」と言われるくらいにならないとだめですよね(今回どのくらい良くなるかは保証の限りでは有りませんが・・・)。

お時間のある方は是非お立ち寄りください。

アンプの音質・特性は回路構成で決まりますか? -いいえそんな単純ではありません-

久しぶりに回路の中身を解説してみたい。というのもxx回路はこういう音がするとか、弊社のアンプ回路を掴まえて回路に新規性が無いのでどうたれこうたれとか、あまりにも単純な事を言っているのを目にすることがしばしばあった。実際にどの様な事を考えて回路設計をしているかを紹介しなければと思ってこのコラムを書いてみました。

最初に一言いわせてもらえば、アナログ回路はもう成熟しきった分野なので、そもそも新回路なんて必要ない場合がほとんどで、xx回路を考案したなんてキャッチフレーズを謡っている事自体(あるとすればの話だ)が非常に不自然な話だ。

それでは各社同じ様な回路を使用していて、それでは同じ結果になるかというとまるで違う。自動車だって、xx社のyyモデルはFFのノンターボでマクファーソンストラット・サスペンションだからこういう走りのはずだなんていったら笑われるだろう。もちろん、構造、様式などは重要だがそれだけで決まるというよりも設計・技術次第でどうにでも変わるので、実際に試乗してみないとそのパフォーマンス・特徴がわからないのと同じ事だ。

回路設計について解説するにはまず基礎的なことを説明する必要がある。

パワーアンプにしろプリアンプにしろ半導体式のアンプ回路は次の3段構成となっているのが普通だ。
ycyoyoiyoyiyayth320.gif<アンプ回路は3段構成>

初段はいわばバッファアンプで利得はあるものの小さく、終段は完全にバッファアンプだ。増幅器としての中核を担うのは中段で初段と終段は中段のために存在するようなものだ。その中段の回路構成は以下の組み合わせがある。

ycyoyoioaae.gif

<中段の回路構成>
トランジスタアンプ自体は非常にシンプルなのだが、それを理想的な条件でここで解説したいのはカスコード回路である。カスコード回路はトランジスタの寄生容量がミラー効果で数百倍に増加してしまう事を回避するために用いられる回路で、高性能半導体アンプでは必須といっていいだろう。

このカスコード回路は2種類あってそれぞれ回路は次のようになる。
ycyoyoieaeoth.gif

<カスコード回路を使用したアンプ回路(中段)2種>

下の四角で囲った部分がカレントミラーと呼ばれる回路でどちらも同じく能動負荷として働き、ゲインを稼ぎかつ差動トランジスタの出力を合成する働きもする。また、カスコード回路は縦につながっているという様な意味だが、差動アンプの電流が信号によって変調されてもQ1、Q2のコレクタ電位を固定する役目をするため、ミラー効果と呼ばれる寄生容量が数百倍になることを防止する事ができる。右の回路はそのカスコード接続と増幅の役目を1人2役でこなしたような回路で、ベース電位を固定して、エミッタから信号を入力してやることが回路上の特徴となっている。
ここまでは電子回路の教科書に普通に書いてある事で、電子回路がわかる人にとっては何の変哲も無い記述だ。ここから先はオーディオ様のアンプ回路について熟考したもので、教科書には書いてない(といってもわかってしまえば当然というか簡単な事だが・・・)。

左の通常のカスコードに対して右のフォールデッドカスコード回路は、差動アンプとカスコード回路を一人二役でやってのけて回路を簡略化できたすばらしい回路のようにも見えるが、実際はそれだけではすまない。

この2種のカスコード回路はそれぞれ長短があってまとめるとこういう事になる。
ycyoyoioaa-yyyyeeaeo.gif

<カスコード回路の特徴の比較>

重要な事項を青で記述したが、回路設計者でもここまでは一般に考えていないのではないかと思う。というのもフォールデッドカスコード回路を使用して貧弱な電源を使用したり(電源ノイズがそのまま入力を変調しているとも知らずに)、あるいは100万円するパワーアンプ回路にフォールデッドカスコード回路を使用していたりするからだ(出力インピーダンスが高いのでパワーアンプにはそもそも向かないのに)。

弊社の場合プリアンプの回路にフォールデッドカスコードを使用しているが、当然の事ながら極めて良質の安定化電源と組み合わせている。まあ、ゲインはほぼNFB抵抗で決まるので、決定的な問題ではないが、内部でノイズまみれというのは気持ち悪い。ちなみによく用いられる3端子レギュレーターは100uV程度のノイズを常時発生させている。

フォールデッドカスコード回路をあるメーカーでは多用しているのだが、おそらくここまでは考えていないと思うし(わかっていたら3端子と組み合わせて使用しないはず)、そのメーカーのアンプ・CDの音質は全体的に高域が妙に目立つ結果となっている。

カスコード回路は使用しないと帯域が狭くなって高域の歪率が悪化するので必須だと思うが、カスコード回路はミラー効果による寄生容量Cobの増幅を抑制するもので、Cob自体は残るのである。Cobは通常数pFなのでもう同でもいいじゃんと思うかもしれないが、実際にはCobの変動が歪を発生する主要因なので、この変動分を抑える必要がある。Cobキャンセル回路というのもあるのだが、そこまでやると回路数がさらに増えて凄い事になる。弊社アンプではCobが小さいトランジスタを選び(もちろ他の性能も良いものだが)、さらにそのCobの変動が小さい領域で動作せている。下の図はトランジスタのCobと電圧の関係だが35V以上でCobが一定となっていることがわかる。プリアンプの電源電圧がプリアンプとしては高い+-35Vになっている理由もここにあって、Cobの変動を抑制したいが為である。+-35Vという電圧は20V以上の交流出力を発生する事もできるので、安全のためにプリアンプには7V以上の出力が発生した場合には瞬時遮断する保護回路も搭載するという凝った回路になってしまった。

cob-vccdata.jpgあるトランジスタのCobの電圧依存性

ここまで考えて設計しているのがプリアンプの中段の話で、もちろんこれ以外にも考慮している事はいろいろある。ここまで来ると相当こみいった話になったと思うが、既存のアナログ回路の中でできる事は無限ともいえるほどあるので、そもそも新規回路という発想は必ずしも必要ないという雰囲気はお伝えできたのではないかと思う。

少なくとも「このアンプの音質はxx回路だからこうだ」とかそういう単純な話ではないという事だけ理解していただければ、このコラムを書いた甲斐があるというものだ。

ホトトギスは鳴いたか? -いえ、鳴けませんでした-

いつもご愛読ありがとうございます。

昨年末には、弊社のアンプがいくつかの雑誌が主催するグランプリで賞をいただいた。これは非常にありがたいことだと思っている。

昨年受賞のお知らせをいただいた時に「来年(今年)に授賞式をやりますよ」という文面が入っていたので、期待していたら、なんと授賞式が知らないうちに終わっていた。確認してみたら何かの手違いでこちらには招待状が届かなかったらしい(プリアンプ、パワーアンプ2個も受賞していたのに・・・・)。正直超ショック・・・。なんで、なんで、なんで。

終わったものは悔やんでも仕方ないのだが、ここはまた今年も頑張れという何かの暗示だろうと勝手に解釈しておく事にしたい。

基本的にオーディオショップを通さないで販売しているので業界に背を向けている様な感じをいただいている人もいるかもしれないが、そんな事はなく、また社会の礼儀みたいなものもきちんと守りたいと思っているので、喜んで行きますよ(呼ばれれば)。まあ、ブログなどで生意気な事も書いているのでばちが当たったのかもしれないし、あるいは今年も頑張れ(来年は招待される様に)という示唆かもしれないし(考えすぎか)、ブログのネタをプレゼントしてくれたのかもしれないし・・・・(これは無い)。
まあでも、来年は招待されるように頑張ろうと思っているのはたしかだ。それに、グランプリなどはもともとこちらには無償で出版社が企画して盛り上げてもらっているので、それだけでありがたいと思わなければばちが当たりますよ、これ本当の気持ち。

ただやっぱり残念だったのでここで一句(有名な武将にあやかるのは失礼かもしれないが)、

「鳴きたくも
終わっていたよ
ホトトギス」

お粗末さまでした。