パワーアンプの進捗状況 -その2-

パワーアンプ、大変お待たせしています。

製品版と同じ仕様で、デモ機とする予定のパワーアンプを製作いたしましたが、いろいろ検討した結果、もう少しスペース的に余裕があるほうが望ましいため、シャーシ寸法を一回り大きくして製作し直しております。

製作したパワーアンプの電気特性、音質は以下のとおりです。

パワーアンプ電気特性
最大出力:80-100Wx2(8Ω)
歪率:0.015%以下(20-20KHz最大出力時)
0.002%(20-20KHz1W時)
SN比:126dB(IHF-A、50W時)
残留ノイズ: 9uV
周波数特性:DC-2MHz(-3dB)
ミニタワー型 (製品版の)サイズ:250x290x350mm(W,H,D)突起含まず


パワーアンプの歪率特性3V付近が1W時の特性です。小音量時の歪率特性が高域まで非常に優れています。


8Ω負荷、100KHzの矩形波応答です。安定で、非常に素直な特性に仕上がっていることが分かります。(通常のパワーアンプでは100KHzはよくても三角波程度です)。

音質はまず、低音が非常に締まっていてゴリゴリした低音が出てきます。量感にも優れ、小口径SPでもここまで出るかと驚くほどです。中高音の情報量の多さは、プリと同じですが、低音域も良いので全体のバランスにも優れています。アンプの出す音の密度がこれまでと違うという感じです。
これまでに所有して聞き込んだといえるのは、様々な自作記事のアンプを製作したり、他社製30-50万円クラスセパレートパワーアンプなどですが、それらとは格が違うという気がします。
プリアンプの場合は用いるパワーアンプ、スピーカーによって多少の好き嫌いは出てしまいますが、このパワーアンプでは組み合わせや好みの問題を超えて、良さが分かっていただけるのではないかと期待しています。

2月末から3月はじめにはデモ機をご案内させていただくべく、努力しております。よろしくお願いいたします。

使用機器紹介 −パワーアンプ編−

パワーアンプについて紹介します。現在使用しているのは弊社で製作したパワーアンプ(試作品発売予定のものと同じ回路)ですが、これは別途詳細をホームページで紹介しますので、ここではその他のパワーアンプについて説明します。

1.ラックスマン M-7

ラックスマンM-07 ラックスマン M-7 の外観

このパワーアンプは市販品のひとつとして参考にさせてもらっています。一言で言うと非常に良くできたアンプです。特に外観は相当立派ですし、音質は不快な音は絶対出さないという感じです。全体的にピラミッド型というのでしょうか、低音が豊かに聞こえます。何を聞いても柔らかめの暖かい音色にしてしまうといった感じです。ただ、すべてのソースを同じ様なトーンで聞かせるので、ここのところが気になってくると、不満になると思います。注文をつけるとすると、低音が豊かな代わりに締りが足りなく、ボーン・ボーンという鳴り方です。低音は非常にダンピングの聞いたパワーアンプ(たとえば弊社製)を聴かなければ、分からないのですが(スピーカーのせいだと思ってしまう)、制動力のあるパワーアンプに代えると、M-7の制動力が足りなかったのがはっきり分かります。また、中高音は情報量が足りないというか、毛布一枚を通しているような音にも聴こえます。この辺はこのアンプのいい所の裏返しなのでなんとも言えません。このアンプをソフトドーム系のおとなしいスピーカーで鳴らしたら、ものすごく物足り無い音になるかもしれません。

回路的にはやや変則的なところもあります。初段の差動アンプで主にゲインを稼ぎ、2段目はベース接地としてしかも電流出力をパワートランジスタへ入力しています。電流増幅アンプ的な使い方をしています。

主なスペックは

150Wx2(8ohm)

0.004%(1KHz)/0.03%(20-20KHz)

SN比:115dB(A)

周波数特性:10-100KHz(−1dB)

パワーアンプとしては標準的なスペックですが、F特が悪く、そのせいで高域の歪が増えています。またSNも私に言わせれば悪く、内部の配線の引き回しがよくないことを伺わせます。カタログでは高域の歪み率が悪いことを隠すために1KHzのみの歪率特性を載せています。

このパワーアンプにはバランス入力やアテニュエーターが付いていて使用上非常に便利です。いつもは自社製アンプを使用していますが、時々これを聴いて、ああこれはこれで良いなあと思えるアンプです。

2.オーディオ雑誌掲載のDCパワーアンプ

自作記事をたくさん載せている月間雑誌(最近は何故か管球アンプが多い)に掲載されたDCパワーアンプです。使用部品もすべてオリジナルに忠実に製作しました。雑誌購読者の方には人気のあるパワーアンプだと思います。写真・正式名称は中傷になるといけないのでやめておきます(熱狂的ファンの方がいらっしゃって、以前怒りのメールをいただいたことがあるので)。主な仕様は

MOS-FET出力

出力65Wx2位

オリジナルモデルでは非常に中高音が硬い音でどぎつい音です(プリアンプもそういう傾向にあります)。もともとNFBループ内に位相補正がされておらず、しかもNFBループ内にボリュームが入れてあって、この配線の引き回しによって高域に大きなピークができています。出力段のバイアス電流をオリジナルよりずっと大きくして、NEBループ内で位相補正を行った結果大分よくなりました。ただNFBループの引き回しの影響が完全には取れず、多少のピークが残っています。このアンプ、電源部が強力なせいか、ダンピングの聞いた低音が特長です。このアンプ決定的な欠点は1年位すると壊れることです。片CH毎に1-2年使用すると出力段が破損します。よくよく見るとパワーMOSFETの定格を大きく超える(最大定格の2倍の電圧がかかる可能性がある)使用方法になっています。出力が電源電圧まで振り切れるという尋常ではない壊れ方をするので、2回ほど修理しましたが、現在はすべて回路を入れ替えました(ケース・電源部のみ使用)。

10KHzの矩形波応答 10KHzの矩形波応答特性(緑:出力、黄色:入力 8ohm負荷)

他にプリメインアンプ等がありますが、とりあえず今回はこの辺で。

使用機器紹介 −スピーカー編−

現在使用している再生装置を紹介します。(使用しているといっても必ずしもお薦めということではありません。)

スピーカーはB&Wの805Sを使用しています。もともと同社のCDM 7NTというのを持っていたのですが(今もある)、これはバランスの取れたコストパフォーマンスも良い優れたスピーカーです。805Sはある方に薦められたこともあり、雑誌の評価も高く、また立ち聞きはしていたので購入しました。ただこれは大失敗でした。805Sは高音にものすごい癖があり、すべての音がカーンと響くような音なのです。それにつられて全体の帯域バランスが悪く、すべて中高音が耳について、非常に聞きづらい音になります。低音は1年くらいたって少しは出るようになりましたが、それでも全体のバランスは聞けたものではありません。(どうりで新品同様のものがオークションにたくさん出ているわけです)。

いいところは、解像度が高く、定位も7NTに比べていいので、Jazzなどで、特に中低音の厚みがある録音は聞けないこともありません。7NTは全体のバランスはいいのですが、805Sに比較すると全体的にもやっとしたところがあり、805Sを聞いてしまうとちょっと物足りないところがあります。本来はもう少し上位機種にしないといけないのかも知れません。ただ、いいスピーカを使用していい音がでても(弊社の)アンプが良いと思ってもらえないので、比較的貧弱なスピーカーをすごい音で鳴らすのが目標です。

805Sの写真805Sの写真(なんだかんだいって結局使用している)

805Sの耳に付く中高音は、その聴こえるとおり、周波数特性が中高音のレベルが高いことにあります。

加えて28KHzに強烈な共振(+14dB)があるので、その影響だと思います。 +14dBというのは約25倍の大きさの音が出るということで(聴こえれば)、これは可聴帯域外とはいえ影響が無いほうがおかしいでしょう。そこで、この共振を打ち消すためにピークキャンセラーを作ってTw側にいれました。またTwは約2dBレベルを落としています。ピークキャンセラーの効果は微妙ですが、レベル調整によってある程度聴けるようにはなってきました。

805Sの周波数特性(無響室特性)雑誌に載っていた805Sの周波数特性(無響室)28KHzピークがすごい

805Sに取り付けたピークキャンセラーツイーターにつけたピークキャンセラー/28Khz、-14dB、半値幅も合わせてあります。

CDM 7NTCDM7NT買うならこの断然このタイプの方をお薦めします

805Sは室内の周波数特性を図ってみるときっちり40Hzまでフラットに出ていて、この点は大型SP並です。もう少しアンプ側からのアプローチで手を入れてやれば、素晴らしい音になる可能性があるので、結局手放せないでいます。できの悪い子供ほどかわいいということでしょうか?

このプリアンプはどんな音ですか? -いいえ楽器じゃないので音は出ません-

よく初めてのお客様から「プリアンプはどんな音質ですか?」という問い合わせを電話でいただきます。
実際に表題の様にぶっきらぼうに回答するわけではありませんが、いきなり聞かれても正直お答えのしようがありません。
たとえば、服飾メーカーに電話をして、自身のことまったく説明せず、いきなり、お宅のこの服は私に似合うでしょうか?と質問しても、メーカーも答えに困るのと同じです。同じ質問でも、自分の年齢、体型、好み、使用するTPO、組み合わせる他の服装を説明すれば、それは似合いますとか、こちらの方がいいでしょうとか、専門家ならではの回答をもらうこともできると思うのです(仮に相手にしてくれたとして)。
アンプも同じ事で、使用しているオーディオ装置、好みの音質、改善しようとしている方向をおっしゃっていただいた上で、ご質問いただければ、かなり的確な回答ができると思います。(これまでにお客様からいただいたデータベースも結構ありますので)
プリアンプの音質で良くいただく表現は

・解像度(分離)がいい、・情報量が多い、・音が澄んでいる、

などです。
ただ、これも正確にいえば他のプリアンプでは

・解像度が悪い、・情報量が減る、・音が濁る

ので、弊社のアンプに変えると上記の様に聴こえるだけだと思います。
弊社のプリアンプを入れて音質が良くなるのではなく、音質がまったく劣化しないだけなのです。

実際弊社の中での試聴では他社のプリアンプと音質比較をすると結構な差はありますが、パッシブプリとプリアンプを瞬時比較したり、CD-パワーアンプ直結とプリアンプ挿入の瞬時比較をしても、顕著に音質が変化するわけではなく、少し変わったかなという程度です。

ただお客様の中にはこれまでCDとパワーアンプを直結されて使用されていて(音量調節はなんとセパレートパワーアンプのアッテネーターを調節されていたとの事)、弊社のパッシブプリを入れたら音質がよくなり、さらにその後DCプリアンプに変えたらよりよくなったという方もいらっしゃいますので、DCプリの方がいいとも言えるかもしれません。

そのほかにいただく音質上の評価として

・低音が締まる、・音に厚みが出る、・音がうるさくない

などの表現もいただきますが、これはお客様によってもばらつき、どちらかというとスピーカーやパワーアンプの本来の能力を引き出しているだけだと解釈しています。つまりお客様の装置セッティングに依存しています。
そういう事情があるので、音質に関してお問い合わせいただくときは、まずご自身の装置を紹介していただく事をお薦めします。そうでないと、ひょっとすると表題の様な返答をしてしまうかもしれません。

パワーアンプの進捗状況-予想スペック-

パワーアンプ、お待たせしています。予定スペックは次のとおりです。

パワーアンプ仕様
最大出力:80-100Wx2(8Ω)
歪率:0.01%以下(20-20KHz最大出力時)
SN比:120-130dB(IHF-A、最大出力時)
周波数特性:DC-1MHz~DC-3MHz(-3dB)
ミニタワー型

すべての項目は試作機の実測値に基づきますが、実際の出荷モデルでは最終的に多少変わる可能性はあります。

回路的には
初段:デュアルFET+カスコードブートストラップ
中段:差動+カスコード+カレントミラー
終段:3段ダーリントン
電圧増幅段:安定化電源
となります。
回路的には比較的凝った構成ですが、特に新規性の高いものは採用していません。正攻法でとことん突き詰めたような内容です。

回路定数、使用デバイス、基板パターニングの検討をこれでもかという程やりました。たとえば基板の配線パターンの最適化だけでも4,5回やって、高周波特性を改善してきました。これによって安定に高域までNFBがかかりF特、歪み率が向上します。

音質的には、情報量が圧倒的に多いのはプリアンプと同じですが、加えて低音が非常に締まって量感にも優れています。中高音の情報量と豊かで締まった低音で、全体のバランスも非常にいいと思います。

2月中にはデモ機を出せる様にしたいと考えています。
製品版のリリースは3月くらいなると思いますのでよろしくお願いいたします。