ヘッドホンとヘッドホンアンプについて考えてみました

はじめに
ヘッドホンアンプについては時々依頼が寄せられていました。当初は具体的に考えてはいなかったのですが、最近は少し気になってきました。

ヘッドホンに関してはもう”そこまでやるの”というくらい超マニアの方がいるので詳しくは書きませんが(書けませんが)、私の様に普段スピーカーを使っていて、ヘッドホンの事は良く知らないという人のために、さわりを書くとこんな感じでしょうか。

ヘッドホンの特徴  -スピーカーと比べて-
ヘッドホンとスピーカーの違いを箇条書きにするとこんな感じでしょうか
(+は長所、-は短所、+-はどちらでもないを表しています)
+聴感(特性)が部屋に影響されない
+フラットな周波数特性が得られやすい
-逆にスピーカーの様に配置を工夫して周波数特性を調節するとか、ツイーターのアッテネーターのレベルを変えるとか、そういう調整は原理的にできない。
-スピーカーで聴くことを前提としたソフトを聞くので中高音が多く聴こえる。それを考慮して全体の補正したヘッドホンとそのまま聞かせるヘッドホンのタイプがある(ように思う)。
+スピーカーに比べれば安価ですし場所もとらないので、合わなければ他のものを買える。
+実際ものすごい数・種類のヘッドホン(全機種といえるくらい)を持っている(試している)人がいる。
+再生装置の微妙な音質差がわかりやすい
-再生装置のあらも聴こえてしまう
ヘッドホンアンプもパワーアンプに比べれば安い

代表的ヘッドホンの種類と特徴
AKG
AKG K702 すばらしいAKGが一番好みかも
モデルはK701等が代表的。とにかく中高音が繊細で綺麗できめ細かいです。どちらかというと中高音よりなのですが、その音がきれいなので不快ではないというか、これはこれでイイナーと思わせてくれます。
K702(K701とほぼ同じ、ケーブルが取れるモデル)を購入してみてその音の良さに感心しました。ただヘッドホンアンプを良くすれば良くするほど中高音の情報量が増えて低音がもうちょっと欲しくなるので、密閉型の272の方がいいかも。オープン型の702でも手でヘッドホンの両側をふさいで、密閉型もどきにするとぐっとバランスが良くなって申し分がなくなります(聞いているのがたいへんですけど)。

ソニー

MDR-CD900ST、MDR-Z1000等が代表的。900の方は長年モニター用として使われている実績があるようです。Z1000の方は高価だが非常によさそう(量販店でチョイギキした程度ですが)。ということで最近Z1000を購入しました。
うやうやしく、なんと布を張った箱に入っていました。出してみるとちょっと外観がしょぼいので、箱で頑張ったのでしょうか?とはいえヘッドホンは全メーカー箱がかなりおしゃれです。
最初の音は「??」って感じです。とにかく音が硬い(聞いていられないくらい)、どの機器につないでもそういう音なのでヘッドホンのせいだと思います。チョイ聞きしたときもその感はあったのですが、それはヘッドホンアンプがしょぼいせいか思っていたら、そういう音だったのね(がーん)。1日中鳴らしたら多少ほぐれてややまともになってきたので、1ヶ月位すればよくなるのかも・・・そう信じています。ただ、今でも音のしまりとか、雄大さなど他に類をみないよさもあるので、現在悪いながらもそのポテンシャルをかもし出しているという音です。

ゼンハイザー

代表モデルはHD650ですが、私はHD595というのを4,5年前に買っています。ヘッドホンがたくさん並んだ専門店で聞き比べてこれを選んだのですが、今考えるとお店のヘッドホンアンプがあまりいいものではなかったので聞きやすいモデルを選んだのかなーとも思います。特徴は低域を厚めというか、量感があって中高音も聴きやすい感じですね。全体のバランスが取れていて長時間聞いていても疲れません。

オーディオテクニカ
どちらかというと中高音をはっきり聞かせるタイプのヘッドホンを作っていると思います。5千円くらいのエントリーモデルを昔買いましたが、私にはあまりあってない様な・・・・。

デノン
実際に聞いた事は無いのですが、ヘッドホンショーでも持ち歩いている方がいらっしゃったので、根強い人気があるように思います。他の方の評を参考にすると、低音を力強くして全体のバランスを取っているようなタイプと思います。どれか一つ欲しいと思っています。

スタックス
コンデンサー型で有名ですね。独特の繊細な音色がきけるタイプだと思います。試聴したのみで所有した事は有りませんが、根強いファンの方がいらっしゃいます。アンプは専用アンプを使用しないといけません。

他にもベイヤーダイナミックとかいろいろあります。


ヘッドホンアンプ -アンプの構成から考えてみる-

ここからが本題です。次にヘッドホンに適したアンプをヘッドホンの動作原理、アンプの回路の面からから考えて見ましょう。

1.出力インピーダンスが大きくても良い
ヘッドホンとスピーカーの原理の違いで一番大きい点は制動メカニズムだと思います。ヘッドホンの動作はコーン型スピーカー(ウーハー)よりもドーム型ツイーターに似ています。振動板の制動に電磁制動よりも空気制動が効いていると考えられるので、ヘッドホンアンプの出力インピーダンスを小さくする必然性がありません。パワーアンプの出力に直列に抵抗をいれてヘッドホンに接続しても良い理由はここから来ています。

2.出力が小さくて良い
ヘッドホンでは能率が良いのでヘッドホンアンプの出力は30Ωで1Wもあれば十分です(一部に600Ωというものもあるが)。振幅の実効値で約5V程度で、電源電圧、最終段のトランジスタにとっては非常に楽です。
ヘッドホンの能率で90dBなんて書いてあるものもありますが、これ1mWあたりの音圧で、1Wではないのです。

3.ヘッドホンのインピーダンスが比較的大きい
出力が小さくていい事に加え、ヘッドホンのインピーダンスはせいぜい30Ωですからこれもヘッドホンアンプの設計にとっては大きいですね。パワーアンプではあきらめなければいけない高精度なアンプ回路が使えるようになってきます。プリアンプの回路はそのままでは使えないのですが、ヘッドホンアンプはプリアンプとパワーアンプの丁度中間的な位置づけになります(プリアンプそのものでも、パワーアンプそのものでもないもの)。

以上を考慮するとヘッドホンアンプに関しては回路の幅が広がります。これらの特徴を踏まえて最も高忠実度なアンプを考えてみると立派なヘッドホンアンプができるかもしれません。

最近のオーディオデザイン

ブログの方が大分ご無沙汰になってしまいました。
近況をご報告させていただきます。

地震の影響
まず最初に地震の被害に会われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 また被災されました方々にはくれぐれもお身体にご留意され、一日も早く復旧されますように心よりお祈り申し上げます。

弊社の被災状況
弊社におきましては、幸い地震による直接の被害はございません。いつもよりも強い地震だなと感じた程度で、実際棚においてある軽いものが2,3個落ちた程度でした。直接の被害は無かったのですが、時間が経つにつれて単なるおおきな地震では済まない状況である事がわかってきました。

関東の取引先の企業で被害を受けていらっしゃる所があります。あるところでは機械が破損したそうで、当然現段階では復旧のスケジュールが明らかではありません。また配送が北海道、東北、茨城などは配送受付中止で、集荷の受付も3時に切り上げられています。また昨日まで関東近辺への時間帯指定も受付できない状況でしたが、こちらは本日解除されたようです。

計画停電等の影響で各企業の通常営業に支障が生じており、部品の調達なども通常より時間がかかるとおもいます。その辺の調整作業にも当然時間を取られますので、実作業時間も短くなってしまっています。

セレクター等はさほど納期に遅れは出ないと思いますが、アンプ類のい大物は通常よりも時間がかかってしまう可能性があります。

今後のイベントスケジュール
春のハイエンドショーは今回参加を見合わせております。代わりというわけではありませんが、「春のヘッドフォン祭2011」5/7(土)於:スタジアムプレイス青山 7階に出展します。出るからには何かしら[:マル秘:]新製品を出さなければいけません(間に合うのでしょうか?………人に聞いてどうする)。

新製品

DCアダプターをリリースしました。こちらがぼちぼち売れ始めまして、ここのところ多忙です。使いこなしなど近々ご紹介したいと思っております。

DCアダプター
DCアダプターDCA-12Vのホームページはこちら

最近好きなCD

最近好んで聴いているCDのいくつかを紹介します。

ニュー・ジャーニー~新しい旅立ち~,
ケルティックウーマン
B000LZ530Q

表紙はどこかのオバサンが・・・みたいな感じですが、でも録音がどのアルバムもすばらしいです、中低域のゴリゴリした感じが特に。女性コーラスですがサラブライトマンみたいな感じをイメージしてもらえばいいと思います。ケルティックウーマンのCDはどれも録音がいいのでどれを買ってもはずれはないと思いますが、1枚選ぶならこのCDです。特にトラック16の「すばやき戦士 (4:51) Mo Ghile Mear」等はお気に入りで、ハイエンドショーでかけていたのもこの曲です。

The Very Best of ERA
Era
B00063921Y

ERAというグループもコーラスですが、こちらは厚めの男性的な感じでがんがん押してくる感じです。聴いていてある種の爽快感があります。ちょっとロックが入っている感じの曲もあってクイーンをもうちょっと上品にした感じの曲もあります。録音も抜群とまでは行きませんが、とくに悪くはありません。The Mass いう曲はハイエンドショーなどでもかかっていたような気がします。

LE TEMPS QU’IL FAUT
ジャン・フィリップ・ヴィレ・トリオ
AS080(澤野工房)

澤野工房さんのCDはすばらしいものがたくさん集められているようです。このCDは実はオーディオコンピューターを雑誌社で評価してもらった時に、ハードディスクに残されていた曲で、その後ようやく探し当てました。冒頭の曲はクラッシックで言えばサティの様な感じで独特の音色を聞かせませす。録音は全体的にちょっとだけ響きが多すぎるきらいもあるのですが、悪くはありません。ジャズというと古典的な曲も多いのですが(もちろんそれはそれで悪くは無いのですが)、たまにはこういった新進気鋭なCDも聴いてみるとスカッとします。

Titanic: Music from the Motion Picture (1997)
James Horner
B0000029YC

これはご存知の方も多いかと思います。映画タイタニックのサウンドトラックです。映画タイタニック自体にはさしたる興味は無いのですが、このCDのすばらしいところはなんと言ってもオーケストラが非常に良い音質で録音されていることに尽きます。クラシックのCDは特にオーケストラのような大編成ではろくな物がないと私は思っています。ほとんどがコンサートホールでのワンポイント録音に近いもので、結果的にオフマイク過ぎるというか、音が遠すぎるのです。このCDの様にスタジオで(どこで録ったかは知りませんが)マルチトラックで録音したものをステレオで再生するとそれはもうオーケストラの迫力が凄いですね。オーケストラのオンマイク録音というかスタジオ録音はこういった映画音楽かNHK-FMのN響の生放送しかないのが残念です。

このほかにグラディエーターのサウンドトラックもいい音してます。

Gladiator
Hans Zimmer, Lisa Gerrard
B00004STPT

ベルリンフィル12人のチェリストたち
ザ・ベスト
B00061QX6S

文字通りベルリンフィル12人のチェリストによる演奏です。チェロが12人集まるとより一層音に厚みが出ていいですねー。一度来日した際にコンサートでも聞いてきましたがほぼ同じ様なバランスで鳴ってました。コンサートでは12人が円弧状に並んで、客席部分だけあけて置くと言う配置で演奏してました。チェロの録音の場合はマイクをおそらくオーケストラの収録よりも近いところで拾っているせいだと思いますが、結構音質も悪くはありません。
似たようなもので12人のバイオリニストというグループもありますが、バイオリンの場合は12人集まっても音に厚みが出ず、12人集まった効果がいまいち出ないので、音質的には残念な結果になります。フルレンジ12本とツイーター12本鳴らした時の違いみたいなものでしょうか?
12人のチェリストの(録音の)音質はCDによって微妙に異なり、一枚買うならこのベストがいいと思います。2曲目のピンクパンサーのテーマはショーでもよくかけています。

CDプレーヤーの音質と特性(4)…..家政婦は分析した、の続き…

はじめに
前回は数十MHz帯の高周波ノイズを見てもらいました。この辺はマスタークロック、ビットクロック、さらにはデータから漏れて来たノイズだと思います。ノイズにはこの辺の高周波の他に、100KHzくらいの可聴帯域の少し上にもノイズが発生しています。ここでは100KHz帯域のノイズを見ていきましょう。

測定方法
測定方法1KHzのサイン波(-15dB)を再生し、デジタルオシロのFFTスペクトルを観察しました。前回の「CDプレーヤーの音質と特性(4)」では数十MHz帯の高周波ノイズを見ましたが、この辺はクロックあたりの漏れと考えられます。ここでみている250KHz帯のノイズは、信号処理過程で出た副次的な成分で、本来フィルターで取り除かれているべきものと考えられます。
可聴帯域外ノイズスペクトル一覧

1. CDP−555ESD

特に馬鹿でかいピークはないのですが、100-250KHz帯に小さなピークがたくさんあります。またベースライン(基底)も全体的にやや高めです。
555-Di1KHzSignFFT-250Khz-400
2. 50万円のCDP

このプレーヤーは 165KHzと225KHzにはっきりしたピークがあります。
SA1-Di-1KHzSinFFT250-400
3. DV-600AV

ピークはないのですが100KHzを越えたあたりからややこんもり盛り上がっています。高域が濁ってい聴こえることと関係している様に思います。
AV600-Di-1KHzSignFFT250KHz-400
4. DAC-FA0

特にピークは見当たりません。また高域でもベースラインが低く抑えられておりいい特性です。
FA0-1KHSignFFT-250KHz-400
以上が比較的低い帯域の高周波ノイズでした。結構出ているものです。この辺のノイズスペクトルと音質にはやはり相関があって、ノイズが多いほどうるさい音になっています。また前回説明した数十MHzの高周波ノイズと(あるないという意味では)相関はありますが、機種によってはノイズの有無が帯域によって異なっています。

いずれにしても可聴帯域外のノイズは無い方がもちろん良いのです。この辺のノイズが多いと中高音がうるさく、何か付帯音が付いた様な音質になります。その傾向はアンプ・スピーカーなどを良くすればするほどはっきりわかるようになるので(気になってくるので)始末に悪いのです。

弊社のDAC-FA0はこの辺のノイズ対策を入念に行っています(たまたまノイズが無いのでは有りません)。

最近行ったコンサート -外山啓介さんのピアノ-

コンサートもぼちぼち行っています。
昨年12月26日に白寿ホールで行われた外山啓介さんのピアノコンサートに行ってきました。ちょっと印象に残る事があるので紹介します。
外山啓介さんは私が言うまでもなく人気の若手ピアニストでCDも1枚持っていました。コンサートで実際に聴いてみて驚いた事が2つ。

1.聴衆はほとんど女性。
80%くらいは、(ずっと)以前は若かった女性で、会場に入るとかつて体験した事のない違和感が・・・・。まるで女性専用車両に間違って入ったというか、それとはちょっと雰囲気違いますが(女性専用車両に乗った事はありません)。それが悪いということではないのですが、ここまで分布がかたよっていると「なんでだろ」と考えてしまいます。理由は簡単で「女性に人気があるから」という事だと思いますが、クラシックなのに演奏とかではなく、単に容姿で人気が決まるのかと思うと、ちょっと残念というかクラシックはだいじょうか?と余計な心配をしてしまいます。裏を返せば、逆に腕が良くても一般のお客様には人気が出ないということで、クラシック界の人は大変だなーと思ったのですが、まあ大きなお世話かもしれません。(オーディオ界も大変さでは負けませんし・・・)。

2.音が割れている・・・・
ここが肝心なところなのですが、肝心の音が、非常に個性的というか変でした。といっても演奏とかそういう問題ではなくホールの問題だと思います。ピアノは普通のスタインウェイ(だったと思います)。聞こえてくる音は何か高音域が割れたような、歪んだような他の場所では聞いたことのない耳障りな音でした。このホールでピアノを聴くのは2回目ですが、前回も今回ほどではないのですが違和感を覚えた記憶があります。もしこの音がステレオから聞こえてきたら、歪んでいるとか、この装置おかしいと言われてしまうレベルでした。

あまりに気になるレベルなのでちょっと考えてみたのですが、壁に10-15cmくらいの厚さの反射板が設置されているのですが、これに反射する成分と、壁から反射する成分がゴーストの様に2重に聴こえて耳障りなのではないのかなーと思いました(あくまで仮定ですが)。絵にするとこんな感じです。
白寿ホールの壁

ホールの写真などでは目立たないのですが、実際に行ってみると壁に反射板が取り付けてあり、その厚さが(微妙に変化はつけてはいるが)均一なのが気になりました。反射するのはいいのですが、壁からの反射音と反射板から反射音の2音が数十cmの距離差で、この2音が同時に耳に入ると、特定の周波数で位相がひっくり返るので変な音になるのかなーとか、いづれにしろ、何か原因があるとは思います。

普通はコンサートといえば、演奏がどうとか、曲目がどうとか、オーケストラなら指揮がどうとか感じるのでしょうが、私の場合は単に聴こえてきた音の良し悪しの方が気になるので、聴き方が普通でないといえばそうかもしれません。
コンサートではコンサートホールの音質の良し悪しが、演奏者よりも、楽器よりも最終的に音質(音を聞いたときの心地よさ)を左右している様に感じます。

オーディオも装置よりも部屋やSPのセッティングの方が音質を左右している(その割には部屋のセッティング方法に関する内容は少ない)という点でコンサートと共通している部分があるかもしれません。

以上コンサートに行って感じた事を書いてみました。