トーンアーム内部配線の違いで音が劇的変化!? ―パイオニアPL-50Ⅱの場合―

はじめに

最近、愛用のレコードプレイヤーから出てくる音が、どうも以前よりも良くないような気がしていました。自分が1番録音が良いと思うレコードを聴いても、「これはデジタルでは出ない!」と感じたような、あの生々しい音が影を潜めてしまったのです。

そこで今回は、その原因を探るべく、古いプレイヤー(パイオニア PL-50Ⅱ)のトーンアームの内部配線材を交換するテストを行いました。
 

アームパイプ内の配線交換

まずアームパイプ内の配線材交換から始めました。
ネジを外すとコネクターが外れて内部配線が出てくるので、作業は比較的簡単でした。

アームベース以降の配線交換

問題はアームベース以降の配線交換で、これが非常に厄介でした。
細い線5本がメカの中を複雑に通っているので、交換のために専用の金具を作ったりしました。

組み立てる所も線を通す所も難しく、今回の作業で一番時間がかかりました。

動く部分なので非常に柔らかく細い線で作られており、おそらく酸化も非常に進みやすかったのではと考えられます。
新しい配線材には、酸化の影響を抑える目的でも、(差支えない程度に)元の線より若干太いものを用意しました。

配線交換の結果

1.アームパイプ内の配線交換

結果から言うと、このアームパイプ内配線材の交換により、劇的に音質が向上しました。

変化の度合いは、例えるならカートリッジを2ランクぐらいアップした感覚、つまり数万円のものから20万円ぐらいのカートリッジに変えたぐらいの相当な差です。この事から、この古いプレイヤーの音質劣化の主な原因の一つは、配線材の劣化、特に細い線の酸化によるものと推測します。

もし現在、30年前の古いプレイヤーをお使いで音に不満があるなら、下手に高価なカートリッジに手を出すよりも、頑張って配線材を変えるというのも非常に有効な手だと思います。
 

2.アームベース内の配線交換

一方で、より細く、作業が非常に厄介なアームベース以降の内部配線も交換してみましたが、こちらはあんまり変わったという結果は感じませんでした。オーディオの世界では、思った通りにいかないことの方が多いものです。今回は「骨折り損」だったかも知れませんが、試行錯誤が大事だと割り切るしかありません。

 

配線交換の「副産物」で発覚したトーンアームの根本問題

この骨の折れる作業を進める中で、実は今回のテストの真の収穫とも言える、ある問題に気づきました。

それは、トーンアームの回転を支えるベアリングのガタつきです。

アームのベアリングは、イモネジとナットで適切な圧力に調節するのですが、ナットを締めるとイモネジがわずかに動いてしまい、ちょうどいい締まり具合にならないという構造的な問題があります。私のパイオニア PL-50Ⅱだけではなく、ベアリング機構を使っているトーンアームの8割9割はこれを使っているはずで、おそらくあらゆるベアリングで多かれ少なかれ同じ問題が起きているのではないでしょうか。

実際に機械ゲージでガタつきを測ってみたところ、このアームではコンマ3mmもブレていました。

コンマ3mm(300μm)という値は、レコードの溝の振幅(大きくても数百ミクロン)と同じかそれ以上です。つまり、レコードの針が音溝をトレースしている間、アーム全体がずっとブレている状態にあるのです。

ベアリングのガタつき解消こそが今後の課題

トーンアームの設計では、まず初動感度が大事だと言われます。いかに軽く動くか、そのために小さいベアリングが使われているわけです。直径が小さいほど、回転モーメントが小さくなり軽く動く、という理屈です。

しかし、今回明らかになったように、この設計はベアリングのガタつきという大きな問題とトレードオフになっているのではないでしょうか。

軽快に動くこと(初動感度)も大事ですが、ガタつきのほうが音質にとってより大きな問題である可能性が高い。

トーンアームのメカニズムは、配線材の交換以上に、このベアリング機構のガタつきにこそ問題があるのではないか。今回のテストは、そんな「目から鱗」の発見を副産物として得られた点で、非常に有意義な結果となりました。


 

本コラムは右のYouTube動画をAIを利用して要約し、加筆・修正したものです。

詳細はYouTube動画もご参照ください。