パワーアンプのアース処理を甘く見るバカ

タイトルは高城重躬さん著『オーディオ100バカ』にあやかっています。(特定の個人・団体を馬鹿にする意図はありません)

はじめに

パワーアンプの電源回路におけるグラウンド(アース)処理の重要性について、自身の経験を交えながら解説します。アースバー周りの配線を安易に簡略化すると、思わぬノイズ問題を引き起こす危険性があります。

 

パワーアンプ単体では問題ない「危険な配線」

パワーアンプの電源回路では、プラス用とマイナス用のコンデンサーの間に渡されたアースバー(銅板)の「ど真ん中」に、わざわざ穴を開けてアース線を接続するのが基本的な設計です。これは、左右対称性を保ち、リップル電流による電位差を最小限に抑えるための常識的な手法とされてきました。

しかし、アースバーの真ん中に穴を開ける手間を省き、片側の電解コンデンサーのマイナス端子にアース線をまとめて接続してしまうケースが見られます。これは同じアース電位であるため、一見合理的で簡単な手法に見えます。
また、この簡略化されたアース処理を行っても、パワーアンプ単体でスピーカーを鳴らす分にはS/Nに問題はなく、異常も起こらないことが多いのが実態です。



プリアンプを繋ぐと「ブーン」と鳴る

問題が発生するのは、この簡略化されたアース処理のパワーアンプにプリアンプを接続し、RCAケーブルで繋いだ時です。突然「ブーン」というハムノイズが発生してしまいます。

この現象により、当初はプリアンプ側の故障や異常を疑いがちですが、実際にはパワーアンプのグラウンド処理のミスが原因でした。これは、パワーアンプとプリアンプがケーブルで繋がった際に、一種のアースループが形成され、アースのアンバランスがノイズとして増幅されるためだと推測できます。



ハム音発生の原因

この現象について以下のように推測します。

電源の非対称性:整流後の平滑回路には、数アンペア単位の大きな交流成分(リップル)が流れます。アースバーにわずか0.1mΩの抵抗があったとしても、この電流により数mVの電位差が生じます。

電位のアンバランス:「甘く見た処理」では、このリップル成分による電位がプラス・マイナス側でアンバランスになります。

アースループの発生:プリアンプを接続すると、パワーアンプとプリアンプのグラウンドがRCAケーブルで繋がり、一種のアースループが形成されます。このループを介して、電源の非対称性によって生じたわずかな電位差が増幅され、「ブーン」というハム音となって現れたと考えられます。

 

まとめと教訓

・対称性と低抵抗の重要性:パワーアンプの電源グラウンドは非常に繊細な部分であり、わずかな抵抗や非対称性が音質、特にノイズに大きく影響します。

・「合理的」は危険:一見、配線を省略し合理的に見える処理が、実はオーディオの世界では致命的な問題を引き起こすことがあります。

・基板設計の限界:大容量コンデンサーの代わりに小容量コンデンサーを多数使用する回路では、プリント基板のグラウンドパターンが細く(電線に例えると非常に細い)、抵抗値が高くなるため、さらに適切なグラウンド処理が困難になります。

オーディオの設計において、アース処理は単なる配線ではなく、「真面目さ」や「ノウハウ」が問われる、音質に直結する重要な要素なのです。
 

 

本コラムは右のYouTube動画をAIを利用して要約し、加筆・修正したものです。
詳細はYouTube動画もご参照ください。

2025/12/16

パワーアンプのコラム