プリント基板CADソフトEagleに代わるDipTrace(4) まとめ編

これまで基板設計ソフトDipTraceの操作方法について説明してきました。最後にまとめてみたいと思います。

基板設計編で説明したほうが良かったのですが、基板レイアウトのメニュー画面はこのようになっています。

PCBLayoutのメニュー画面

Eagleと異なるのは配線後の調整メニューで配線を移動するコマンドを選ぶと配線の平行移動ができますし、また節(node)を選択して移動したり、節の削除ができます。配線の移動にしても、自動的にホールや他の部品などを避けて配線されるので非常に効率的に配線できます。基板外形のコマンド、ベタ基板の設定メニューなども装備されています。

Eagleと異なるのはレイヤー選択でTopかBottomを選択しそのレイヤーのみの編集ができることです(Topを編集しながらBottomの編集はできません)。

いずれにしても、Eagleの私が最終的に使用したversion6よりもはるかに優れています。DipTraceを使用してから基板製作の効率が数倍に向上しました。

ガーバーデータ作成

また基板発注のためのガーバーデータを作成するのも簡単で、File/Export/Gerberを開きExportAllを押してGeber+NC Drillを選択するとドリルデータを含んだガーバーデータ(Zipファイル)が作成されます。Eagleの様に別途ドリルデータを作ったり、Zipファイルにまとめる必要がありません。

部品の作成

部品の新規制作・編集もEagleよりもはるかに簡単で直感的に操作できます。

例えば新規のトランジスター部品を作る場合、まずComponentEditorを立ち上げます。左メニューのComponentからTransistorNPNをクリックするとトランジスタの一覧が下に表示されます。似たトランジスタを選んで右クリックしてコピーを作ります。コピーしたトランジスタの名前を変更してからpatternをクリックすると以下の様な画面が開きます。

トランジスタの回路をパターン図が表示され、パターン図を変更したい場合は右のパターンライブラリから適切なものを選択します。

回路図をパターンの配線を結び付けるには(これはEagleでは大変な作業でしたが)、左の回路の端子から右のパターンの端子にマウスをドラッグするだけです。

回路図のエミッタとパターン図の#1をマウスドラッグで接続した例

画面を見ながら間違いなく接続できるので、特にマイコンやDACチップなど端子数の多いデバイスを新規設計する際にも非常に便利です。

探しにくいコマンド

最後によく使うコマンドで探しにくいものをまとめておきます。

・F12 未配線の線の最適化(部品配置変更後見やすくするため)

・F10 部品名、部品番号の個別位置調整

・View/Object/CopperPour べた基板の表示の有無

・Object/UpdateAllCoperPours 配線変更後のベタ基板の再設定(これを手動でやらないとルールチェックでエラーになる)

・File/RenewLayoutFromSchematic 回路図変更後基板レイアウトにそれを反映させる(Eagleと違ってこれをやらないとレイアウトに反映されない)

・View/ComponentMarking 部品の番号、値を表示するかどうかの設定

最後に

回路・基板設計ソフトDipTraceは機能面でEagleよりもはるかに優れていますし、また価格も安く非営利なら無料でも十分な機能が備わっています。

是非皆さんも使ってみていただければと思います。

Dynaudio Confidence C4をお譲りします(譲渡済みです)

(本件、おかげさまで譲渡先が決まりました)

このスピーカーを使用して6年たちますが、メインスピーカーとして音質に一切不満はありません。ただ展示会などに持っていくには重すぎ、大きすぎで、かつ皆さんに音を知られていないので、いい音を出してもアンプが効いているのかスピーカーが効いているのかわかっていただけないという問題がありました。

当社の事務所も狭くなってきたこともあり、スピーカーを使っていただける方がいらっしゃったら適価でお譲りしたいと思います。ご自宅でメインスピーカーとして一生使えるいいスピーカーであることは言うまでもありません。

正規代理店Dynaudio Japanより購入したもので,これまでに6年間使用しています。
ユニットの動作などに問題はなく、本体(台座角部を除き)、ユニットになどに目立つ傷などはありません。新しいシリーズに代わっていますが価格がだいぶ上がりましたのでそういった意味でもかなりお得だと思います。

近県の方へは当社で配送いたします(2F以上は基本的にエレベータが必要です)。
遠方の場合ピアノ配送の手配となります。

左下の台座拡大写真の白いところが小傷です

・SPユニットはきれいです。撮影のため外していますがサランネットも付属しています。
・台座部の金具は当社のオリジナルです。必要な方にはお付けします。本体にもともと付属の金具を利用して取り付けしており、本体を加工することなく取り付けられる仕様です。
・オリジナルのスパイクネジ、スパイク受けの状態でのお渡しも可能です。
・元箱は元々木箱梱包なのでありませんが、当社でアルミフレーム製の梱包箱を製作しましたので傷をつけずに運送可能です。
・付属品はサランネット、スパイク、スパイク受け、バスレフダクト用スポンジとなります。

仕様

Dynaudio Confideince C-4  Signature (定価240万円pair)

ユニット:170mmMSPコーン・ウーファー×2、MSPコーン・ミッドレンジ×2、28mmシルク・ドーム・トゥイーター
●能率:88dB(2.83V/1m) ●周波数特性:27Hz~25kHz ●インピーダンス:4Ω ●クロスオーバー周波数:730Hz、2.2kHz
●外形寸法:250(本体)/420(ベース)W×1750H×445Dmm ●質量:55.0kg 

音質・特性など

低域は当社実測したところ、25Hzまでフラットに出ています。きれいな音を出すSPはいくらでもありますが、25Hzまできっちり出ていると、迫力、実在感が全く異なります。またこのウーハーはボイスコイルがセンターキャップと同じ寸法で、過度特性がものすごくよいです。高域はESOTAR2のシルクドームですがカチッとした音から柔らかい音まで変幻自在です。C1,C2と違って3wayですが、C4になると中低域の厚みが絶ものになります。
注意点としてはあえて言えばC4はアンプやプレーヤーの性質をはっきり露出しますので、再生系には良質のものが要求されます。
音像は前にしゃしゃり出るのではなく、どちらかというと奥行き方向に展開されます。オーケストラの厚み、迫力などはまさに快感で、このスピーカーでないと出ない音というものがあります。

他にも当社の展示会などでのブログなども参考にしていただければC4の音質の参考になるかと思います。

ご検討のほどよろしくお願いいたします。

スピーカーをいじっていたら、はまってしまいました(その2)ドはまり編

当社はアンプメーカーなので、スピーカーは皆さんもよく知る、どちらかというと癖のないスピーカーを使わなければいけません、という立場です。

それでも、ちょっといじりだすと、とことんはまってしまう癖があります(根がマニアなので・・・)。

私は1985年から2005年位までの間、完全にオーディオから遠ざかっていました。ですので、この間のオーディオ情報が完全に欠落しています。ふとした時に、そういえばダイアトーンのスピーカーを全く聞いたことが無いなーと思ったのです(ちょい聞きしたことはある)。今ではたくさんの中古品がオークションなどで出品されています。そこで目についたのがこれDS-9Zです、これはダイアトーンの代表作ではないかもしれませんが形が非常に気になりました。ちょうど小型なので、サブサブSPとしてちょうどいいかなーと、気になってしまったのです。

オリジナルのDS-9Z、形のバランスがいいです

そこで完動品をみつけてリサイクルショップから購入してみました。そしたらなんと実物が相当でかい。普段、脇に置いとける寸法ではありませんでした。写真で見るとわからないのですが、相当迫力あります。20cmウーハーというのはわかっていましたが、実寸ではエッジまで18cm、外寸は23cmあります。それに結構重いし。

とりあえず、聴いてみると、これが酷い。どう酷いかというと、高音がキンキンして、とても聞いていられない音です。中古ですので所有者がNWを改造しているかもしれませんし、ユニットの状態も相当劣化しているかもしれません。もちろんダイアトーンのウーハーはエッジが固くなることはしっていましたので、軟化剤を入手して処理しています。

オリジナルの状態で特性を計ってみたのがこちらです。このSPのクロスオーバーは1.5kHzです。1.5kHz付近が凹んでいるのはマイクの位置の関係で(50cmという近距離で計っているので)、本来の特性とは関係ありません。ツイーターのレベルが6dB位高くなっています。音圧で6dBというのは4倍の大きさですから、聴感上高域が目立っていたことも当然です。ダイアトーンのSPが初めからこのような設計であるわけがないので、おそらく経年変化でツイーターの特性が変化したのではないかと思いました(本来ダンプされているはずの振動板が無制動になっているという様な・・・)。

とても聞ける音ではありませんでしたので、ツイーターを強制的に制動した方がいいのではと思い、ボルトを外した途端にボルトが振動版に飛んでいき(それだけ磁気回路が強かったのです)、あえなく振動版がボロンと割れてしまいました。

ということで、すぐにオリジナルの音で聴けなくなりました(聞きたい音ではなかったのですが)。これで踏ん切りがつき、ツイーターを替えてみようということになりました。ボロンツイーターを替えるというのはこのSPの特徴の半分を失ったようなもので、意味がないと思われるかもしれませんが、乗りかかった船です。

ということでここから、さらにドツボにはまったのです。

落とし込む形のスペーサー

ツイーターにハイルドライバー型を付けたら面白いのではと思い探しましたが、1.5kHzで使用できるものは大型で寸法的に入りきらないので、結局通常のソフトドームにしました。サイズを合わせるためにスペーサを作る必要があります。当初真鍮で作ろうとしましたが、価格があまりに高くなるので木で我慢することにしました。材料は花梨という硬い木を木材屋さんから購入しました。

 

単純化したスペーサー

CADで図面を描き、NCフライスで加工したところ、設計に無理があり割れてしまいました。ここまで十時間以上かかっています。

仕方がないのでツイーターが少々出っ張るのを覚悟でスペーサの形を簡略化して作ったのがこちらです。ようやくうまくいきましたのでツイーターを取り付けました。

 

使用したツイーターはSB Acoustics SB26STAC-C000-4 26mm ソフトドーム ツィーターでペアで1万円程度のものです。

 

 

 

全体としてはこんな感じになりました。C-4と並べても高さはありませんが、堂々としています。

NWに関しては一切変更していません。そのままユニットを取り換えただけです。

さらに特性を計ってみるとこうなりました。 悪くありません。若干中高域が落ちていますが問題ないレベルです。

さて肝心の音はどうでしょうか?

 

 

肝心の音ですが、これが素晴らしいのです。高域が前に出てきて、非常に良く鳴っているのです。高域が鳴るケースは一般には悪い方向に目立っていることが多く、好きではないのですが、このSPの音は本当に心地よく響いてくるので、聞いていて快感です。特にピアノの音・響きが素晴らしく、こんなに実在感のある音は今まで聞いたことがありませんでした。低域は密閉なので不足すると思いきや、下の方までしっかり出ているように聴こえます。

数百万円クラスのSPと比較しても、こういう鳴り方をするSPには出会ったことがありません。見栄えがよければ、この音なら150万円でもバンバン売れていくのではという出来です。

ソフトドームユニットは何の変哲もないユニットですので、おそらく逆にウーハーの性能・音質がそれだけ素晴らしいのだと考えています。高域には鳴りがいい反面ちょっとがさつというか、雑な面もありますので、その辺はこの安いツイーターの限界なのだと思います。ちなみにこのウーハー軟化剤を塗布するために一度外しましたが、ものすごい造りです。

フレームの強度、磁石の大きさが凄い

しかもセンターキャップまで振動板と同じ素材で構成されています。このウーハーはごついただけでなく、あらゆるところに振動防止が対策されています。留め具のボルトにキャップをしてあるくらいです。おそらく耳障りな泣きを防止するためにあらゆる対策をしているのだと思います。不思議なのはツイーターで、ツイーターにも磁気回路にフェルトを張ったりして泣きの防止をしているのに、耳障りな音が(中古品の状態では)取れていなかったことです。

おそらく、こういったハードドームでは振動板そのものを直接制動しないと、音響制動だけでは耳障りな音が残るのだと思います。そこまで踏み込んでいれば、おそらく素晴らしいスピーカーシステムになっていたことでしょう。高域のうるささが邪魔をしてウーハーの良さが全く出ていなかったということかもしれません。(ボロンユニットは技術的には素晴らしいユニットだと思いますが・・・)。まあ新品で購入していないのであくまで憶測でしかないのですが。

この改造したDS-9Zですが、何を聴いても素晴らしく、普段聞いていなかったCDまで持ち出して聴いている次第です。

今度展示会などで機会があれば皆さんにも聞いていただいて、手前味噌かどうか判断してもらおうかと思います。

Dynaudio Confidence C4にオリジナルスタンドを付けてみました

Dynaudio Confidence C4を使用していますが、このスピーカは背が高い割にスタンドが狭く、結構フラフラします。輸送上スタンドを広くすることができないので最小にしているのでしょう。音響的にも好ましくないのでスタンドを広げることをずっと考えていました。

ただこのC4は視聴位置がスピーカー中央で、ただでさえ座って聞くとやや上から聞こえてくるので、これ以上高くすることは避けたいのですが、そうするとスタンドの取り付けようがありません。長年思案した末、考えたのが上から吊るす方式です。もともとのスタンド(下の黒い木製台座)には金属製のナットが埋め込まれていて、通常はそこにイモネジを挿入して下のスパイク受けで受け止める構造になっています。

考えたのはこのナットを利用して上にアルミ製フレームを固定して、その外部からスパイクを出すという方法です。その様子がこちらです。

結果は見事無事に収まりました。スピーカーを揺らしても下部のTAOC製スピーカー板台にピタリと吸い付くように固定されています。写真ではわかりにくいかもしれませんが、スピーカーは台座ごと3mm程度浮いています。スパイクの間隔でいうと倍になった程度ですが、固定されているしっかり感は10倍くらいになりました。フレームに使用しているのは、30mm角の高剛性タイプのアルミフレームで、加工後黒アルマイトしました。(もちろんスピーカーそのものには一切手を加えていません。)

スパイク受けをスプリング式のものも使用して試しましたが(全体的にふわふわ揺れる)、高音部はきれいになった感じがしましたが、低音域がかすかにゆるくなった気がしたので通常のスパイク受けに戻しました。

スパイク受けを設置するのも、外に出ているので一人で簡単にできるようになりました。オリジナルの状態ですとスパイクを設置するのに二人がかりでしかも位置を合わせるのが至難の技でした。

音も以前よりも空間表現が更に高まり、再生システムのグレードも全体的に上がったかのように聴こえる様になりました。

市販のスピーカーシステムはスタンドが狭目になっていますので(梱包を考えると必然的にそうなる)、こういった方法を試すのも良いかと思います。

パイオニアのstellanova/ステラノバがヒョンなことから(ほぼ)完璧に(思えば遠くに来たもんだ)

パイオニアのstellanova/ステラノバの製品を以前に紹介しました。これはハイレゾ音源のワイヤレス受信機?みたいなもので、手持ちのUSB-DACをワイヤレス化できるという優れものです。下手にUSBケーブルを伸ばすよりも音質的には良くて、価格も安く(2万円位)とても良い製品なのです。

もちろんハイレゾも圧縮せずにリアルタイムで送信・再生できます。

ただ、検討してみてどうしてもだめなことがありました。音がプツプツと時々途切れるのです。メーカーの説明書にはメモリーバッファのサイズを大きくしてみてとか、使用するWIFIのチャンネル(5GHz帯)を変えてみて、とかヒントがあったので試したのですが、どうしてもだめでした。

結局常用使用を諦めていたのですが、最近なんとなくうまくいくような予感がして(超一流のエンジニアにはこの霊感が大事)再度接続してみました。

音やっぱり途切れます、・・・やっぱり駄目か、と思ってなにげにステラノバの位置や向きを変えてみました、音の途切れは無くならないのですが変化がありました。もしやと思いステラノバをDACのケースから離して置いて見ました。そうするとなんと音の途切れがなくなりました。完璧です。

おそらく金属ケースの真上に直置きすると内蔵のアンテナから出た電波がすぐ下のシャーシで反射して、ゴーストのような電波となり、安定な通信ができなかったのだと思います。

ステラノバの安定性で悩んでいた際、WIFIルーターの設置方法のようなHOWTO本はいくつか読んだのですが、そういえば壁から離せとかアンテナの向きがどうだこうだと書いてありました。

いま振り返れば遠い道のりでした。

ステラノバを導入するためにマックは大嫌いだった私がipadを買い、それでもだめでMacbookAir(10万円)を買い、WIFIの本を数冊買い、WIFIの設定に十時間を費やし、さらに音切れ対策に数十時間を費やしてもだめだったのですが、ちょっと浮かせれば良かったなんて・・・。

空き箱の上に載せて浮かせたステラノバ

オーディオ(通信自体はオーディオではないが)とはこういうものかもしれません。

ここでやっとその勇姿をお見せします。これがその完璧に稼働中のステラノバ。

本当は15Vの付属DCアダプターで使用するのですが、当社のDCA-12Vで動いてます。

かっこえー。

 

翌日以降やっぱりまれに音が途切れます。1時間に1回(1-2秒)位の頻度で、まあ許容範囲かな。98点というところでしょう。