プリメインアンプDCPMA-100発売のお知らせ

この度オーディオデザインではプリメインアンプDCPMA-100を発売いたしました。
製品詳細は12/10発売の無線と実験誌p.19-21(2016年1月号)にて紹介されております。

また無線と実験誌テクノロジー・オブ・ザ・イヤー2015もめでたく受賞いたしました。

DCPMA-100_068_crop_rev_il12

DCPMA-100の外観

DCPMA-100の注文受付を始めましたが、製品の出荷は来年1月下旬よりとなります。

テクノロジー・オブ・ザ・イヤー受賞を記念して、また製品のお届けに時間がかかることから、期間限定価格を設定させていただきました。

1/10までにご注文の方は20%引きの40万円(税別)にてご案内しています。この機会をぜひご利用下さい。

DCPMA-100製品紹介ページ

DCPMA-100ご注文ページ

img011_240無線と実験誌紹介ページはこんな感じです。記事は井上先生に書いていただいています。先生方にも大変高い評価を頂いています。

 

DCPMA-100-121715_061wSPs

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の製品と並べたプリメインアンプの写真。結構大きなサイズです。

 

ダンピングファクターを決めるものは何でしょうか? これです。

アンプの性能を表す指標にダンピングファクターがあります。実際のダンピングファクターの値はアンプによって様々です。

ところで、ちょっと意地悪で申し訳ございませんが、ダンピングファクターを大きくするために次の内で有効な項目はどれでしょうか?

  1. トランジスターなど出力段素子の出力抵抗が小さいものを使用する
  2. トランジスターなど出力段素子を並列接続して出力抵抗を小さくする
  3. 出力段のエミッター抵抗を小さくする、もしくはエミッター抵抗を無くす
  4. NFB量を大きくする
  5. 上記すべてが効く
  6. 上記すべてが効かない

答えはこちら

正解) 6. 上記すべて効かない

です。それでは何がダンピングファクターを決めているのでしょうか?
実は出力部の配線抵抗です。出力段の出力部からアンプの出力端子までの抵抗分をいかに減らすかが重要で,実際にはここでダンピングファクターの値が決まっています。

DF-NFB

ダンピングファクターの決める箇所の説明図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故こんな説明をするかというと、ダンピングファクターについて誤解している人が多く、弊社のアンプのダンピングファクターが大きいのはNFBを大量に掛けているからでしょ(だから音質には良くないですよね)という人が結構いるからです。
出力段のトランジスターやエミッタ抵抗は、確かに出力に影響するのですがNFBのループ内にあるのでその影響が1/1000以下に低減されています。出力段の出力抵抗が1ΩあったとしてもNFBのおかげで実質的には1mΩになっているのです。ですので実際にはダンピングファクターに影響しません。実際出力段直後の点でダンピングファクターを計測するとどんなアンプでも5000位にはなっています。

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普通の市販プリメインアンプアンプパワー部の基板(左上が出力リレーと出力端子)

反対にNFBループの外にあるコイル、リレー、それらの配線材の抵抗はそのまま出力抵抗になるので、ここでダンピングファクターが決まっています。リレーなどをプリント基板に実装して配線したりすると(ほとんどのパワーアンプがそうですが)、すぐに500位に低下してしまします。

コイルは実際にスピーカーを使用する環境で高域のインピーダンス上昇を抑えるもので、アンプの安定性を確保するためには必須です(と教科書に書いてあります)。実際にはコイルに抵抗(10Ω位)を並列接続してダンピングして、コイルの影響でピークができるのを防止します。

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パワーアンプDCPW-100の内部配線(上の写真と比べて欲しい) 出力部はプリント基板を使わず圧着端子で配線

当社のパワーアンプ(DCPW-100)はリレーに超大型のものを使用して、極太のケーブル5.5-8mmスクエアの配線材を使用していますので1500という値になるのです。

DCPW-200の場合はリレーを出力部から取り去って(電源供給側に移して)3000という値を達成しています。

ちまたのアンプでは大胆にも(本来必要な)コイルや保護回路を設けていないものもあり、そういったアンプでは4000-5000という表示になっています。

ダンピングファクターが音質に与える影響

ダンピングファクターと聞くと大きい方が低音のダンピングが効くというイメージが有りますが、数百以上であればそうとも言えないと思います。ダンピングファクターという名前が付いたのは真空管アンプ時代の話で当時はダンピングファクターが1とか10という時代だったので、その時は実際にダンピングに効いたのだと思います。

逆にダンピングファクターは小さくするのは簡単で、出力に抵抗を挿入すれば小さくなります。実際にダンピングファクターを小さくして聴いてみると、高域がおとなしくなって若干聴きやすい感じにはなります(それがいい音かは別にして)。

現代の半導体アンプではダンピングファクターは出力配線の立派さを表しており、必ずしもスピーカーのダンピングに直結するものではありません。ただDFがいい方がまじめに作ってあるアンプということは言えます。

ただし無帰還を謳うアンプではNFBループが形成されないものがあり、こういったアンプでは極端にDFが小さくなり、低域の質感が悪くなります。かわいそうなのはこういったアンプだけを聴いていても本人はその弱点に気づかないことが多く、DFのよいアンプを聴いて初めてその違いに驚かれた方もいらっしゃいます。

まとめ

要するにダンピングファクターというのは(出力部の)配線をどれだけ真面目にやったかという証なのです。ダンピングファクターはダンピング(制動)ではなく、配線のダンピング(不当廉売)ファクターと言う方があたっているのかもしれません。

パワーアンプのモノーラル(BTL接続)が予想外に良かった件

パワーアンプのモノーラル化について、これまで必ずしも積極的にお薦め出来るとは考えていませんでした。

ただお客様の(他社のアンプを使用した)これまでの経験ではモノーラルにすると良くなるとおっしゃる方が多かったのも事実です。初代パワーアンプDCPW-100についてはモノーラルアンプとしての使用は出来ませんでしたが、2台を使用して(LowとHighで)バイアンプ駆動を試された方などはいらっしゃいましたが、「違いはすこしなのでやっぱり1台でいいや」とおっしゃる方多かったのも事実です。

DCPW-200に関してはモノーラル(BTL接続)としての使用もできるようになっていましたが、これはどちらかと言うとお客様の要望に答えるというのが目的で、製作者としてはモノーラルの方が絶対に良いとは考えていませんでした。
DCPW-200を開発した際、BTLモノーラル接続でも試聴したのですが、確かに1台でステレオとするよりも、躍動感といいますか弾けるような音離れの良さは感じたのですが、2台使用のほうが明らかに上といいますか、2台(2倍の)価格に見合う音質向上とは正直思えませんでした。

先日DCPW-200 1台をご購入いただいたお客様で、もう1台追加して(モノーラル使用で)2台のDCPW-200で使用してみたいという方がいらっしゃいました。念の為に最初の1台を一旦お引き取りし、1台目と2台目の両方をチェックして納品させていただきました。この際、改めてBTLモノーラル仕様で聴いてみましたが、これがとても良かったのです。低音部の量感や力強さが明らかに増して、全体的にさらに上質になった様に感じました。開発当初にテストした印象とは大きく異る結果となりましたが、そのテストした当時との違いはSP(部屋)のレイアウトを変更したこと、SPケーブルをワイヤーワールドのものに変更した位で、結果が決定的に異なる要因とも思えないのですが、オーディオはデリケートで不可解なところもあるので、そういうこともあるのでしょう。

お客様のところに納品した際も、同様に音質が向上しており、お客様にも2台目を購入してよかったと喜んでいただきました。特に高音域が(もともととても澄んだ音色ではあったのですが)より良くなったとのことでした。


DCPW-200、2台でテストしている様子

2台のパワーアンプを使用して接続する方法には2通りあります。

2台のパワーアンプを使用する際1台をBTLモノーラルにして接続する方法と、通常の2CHアンプのままHIGH、LOWに振り分けてバイアンプ駆動にする方法があると思います。こちらでテストした印象ではBTLモノーラルの方が総合的には良いように思いました。バイアンプ駆動にすると中高音域がはっきりするようには聴こえるのですが、帯域のバランスが若干くずれ、低域が目立たなくなってしまいました。HIGHの方をすこし音量レベルを落とせばバランスがとれたのかもしれません。

BTLモノーラル駆動は負荷インピーダンスが1/2になるので不利だと思っていましたが・・・
BTLモノーラル駆動は電子工学的に考えると、負荷インピーダンスが1/2になります(ので不利だと思っていました)。
どういうことかといいますと8ΩのスピーカーをBTLアンプで駆動すると4Ωの負荷を駆動していることになるので、アンプに取っては負荷が重くなって不利だと思っていたのです。

ただよくよく考えてみると、同じ音量を得るのに(同じ電力をスピーカーに供給するには)BTLの場合は出力電流は同じで出力電圧が1/2になるので、原理的にBTLの方が有利だったのです。8Ωのスピーカーで2Wの出力が必要な場合、BTL、と通常のアンプでの動作はこのようになります。

通常アンプでの出力電圧と出力電流
BTLアンプでの出力電圧と出力電流

BTLアンプではと同じ音量を出す場合、出力電圧は1/2に出力電流は同じになるのでむしろ有利になります(不利な点な無いのです)。

これがBTLアンプにすると音質が良くなったひとつの原因かなーと勝手に納得しています。

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DCPW-200の評価記事への補足説明(いいわけ?でいいわけ)

最近すっかりブログがご無沙汰で申し訳ありません。

最近新型パワーアンプDCPW-200のオーディオ雑誌の評価記事が出揃いましたので、それについて製作者としての立場からいくつか補足説明させていただきたいと思います。

掲載時期の順番でまずオーディオアクセサリーの秋号での評価記事はこちらです。

オーディオアクセサリー

2013年秋No.150,「話題の注目モデル」p188

弊社のアンプはすべてスピード感があるというのは間違いのない事実で、記事にあるようにDCPW-200も当然そういった傾向があるアンプです。この記事の中で
「本機の音には切れば血の出るような生命感が溢れているのだ」
と書いていただいていますが、まさにこの表現がDCPW-200の特徴を表していると思います。
DCPW-200で音楽を聴いていると、なにか情念のようなものを伝えてくる時があります(貞子?)。

次にこの記事に関連して、テクニカルな点をもう少し補足させていただきます。

DCPW-200の出力部の配線は実は通常と異なる構成になっています。通常は出力トランジスタ(+エミッタ抵抗)の出力部からミューティング用のリレーとコイル(インダクタンス)を経由してスピーカーターミナルに配線されています。最初のモデルのDCPW-100ではこの構成は同じく踏襲し、リレーを巨大なものにして、かつコイルも通常よりかなり線材の太いものを使用して出力インピーダンスを下げました。これで達成したのがダンピングファクターDF=1500という値です。それに加えて出力配線部にはプリント基板は使用せず太い配線材+圧着端子という、結構作業が大変な手法をもちいています。逆にこの従来のやり方での限界がDF=1500でした。

DCPW-200では出力部のリレーを出力トランジスタの電源供給側へ移動しました。こうするとリレーがNFBループの前に入るのでリレーの接触抵抗の影響は数千分の1になるのです。この手法はいくつかのところで採用されているのは見たことが有りますが、実用機としては比較的珍しいと思います。なっといっても一番むずかしいのは電源をONにした際にノイズが出ないようにすることで、このためには出力部が瞬時に立ち上がり安定する必要があります。実験段階では早くから成功していましたが、実機に組み込んでみると色々と修正するべきところがあり、この部分を詰めるだけで半年かかってしまいました。

通常のパワーアンプの出力部構成

DCPW-200の出力部構成

リレーの接触抵抗を払拭できると残りはコイルの部分です。一つお断りしておきますが、このコイルというのはパワーアンプであればすべての機種に入っていますし、入っていなければならない部品なのです。(DCPW-200ではこのコイルがあまりにも大きいので非常に目立ってしまっていますが・・・・。)

このコイルの役割は高周波領域での外部に接続したスピーカーからの影響を遮断するために設けられています。普通の製品ではプリント基板に普通に収まっているので目立たないだけなのです。
このコイルはどうしても何十cmかの線材を巻くので出力抵抗がそこそこ有ります。抵抗を少なくするために線径を太くするとコイルの長さが長くなり、線材の長さが長くなるので結局たいして抵抗は下がりません。シミュレーションを繰り返して、更に一工夫してできたのがDCPW-200に搭載しているコイルで、その抵抗値はDCPW-100の数分の1、通常のアンプに使用されているコイルの数十分の1にはなっていると思います。こうした工夫をして得られた値がDF3400なのです。

長くなりましたので、以下の記事に対する補足は別のブログで紹介させていただきます。

ステレオサウンド

2013年秋,No.188,「話題の新製品を聴く」,p364

無線と実験

2013年10月号,No.1088,「MJズームアップ」,p16,p17,p18

新型パワーアンプDCPW-200の進捗状況

新型パワーアンプの近況についてご報告させて頂きます。

DCPW-200のデザイン

まずデザインですが、昨年のハイエンドショーでお披露目した形から変更しました。CADデザインはこんな感じです。

DCPW-200のデザイン

デザインが斬新な分、加工にもいろいろと工夫が必要で、現在詳細を各種検討しています(ですので時間がかかっています)。

DCPW-200の機能
DCPW-200はRCA入力、XLRバランス入力の両方に対応しています。さらに出力もステレオ出力とモノーラル出力の両方に対応しています。ですので、動作モードとしては
1. RCA入力、ステレオ出力
2. RCA入力、モノ出力
3. XLR入力、ステレオ出力
4. XLR入力、モノ出力
の4つをリアパネルのツマミで切り替えるようになっています。

DCPW-200のリアパネル

2と4のモノーラル出力はBTL出力となります。
特に2の場合、RCA入力をクロスフィールドバック方式のアンプを通して完全なバランス信号に変換し、その後左右のCHにHot、Coldを振り分ける本格的な方式です。

出力の仕様はステレオ時150W+150W(8Ω)で、モノーラル時は600W(8Ω)です。

DCPW-200の特徴
最も特徴的な性能はダンピングファクター(DF)が5000程度あるということでしょう。DFを5000程度に持ってくるには回路的に相当の工夫が必要です。DFが5000になるとDF500のものよりも聴感上ダンピングが良くなるかというとそうではなく、より細かな情報が出てくるとご理解いただいたほうが良いと思います。
その他の性能はDCPW-100よりもむしろ若干劣ります(とはいっても他のパワーアンプよりはいいですけど)。

音は、聴いていると何か情念の様なものがどろどろ出てくる感じで凄いです。

DCPW-200のリリース時期
3月初めには完成させたいと思っていましたが、現状の見込みでは早くて3月末くらいの見込みです。
新型プリアンプDCP-210の方が立ち上がって来ましたので、この点でも忙しくなってきています。

簡単ですが新型パワーアンプの近況を説明させていただきました。