KEFのサブウーハーKC62を試して見たら、とっても良かった。

-普段なら買わない製品を試してみたら その4-

DynaudioのスピーカーC4を手放して、PL-200と804D3にしたのは以前話した通りです。最近のエージングも進んだせいか、804D3の音も気持ちよく、常用できるようになってきました。ただこれらのスピーカー、C4に比べると最低域が出ていない分、欲を言えば地を這うような音の迫力というか、最後の一押しがもの足りません(このSPだけを聴いていれば不満はないのですが以前の迫力を思い出すとちびっと足りません)。

サブウーハーとの出会い

雑誌をみているとサブウーハーが気になったので実際に買って試してみました。その機種とはKEFの16cmウーハーを使用したサブウーハーです。記事評価が+アルファ的にいいことに加え、再生帯域が11Hzからとあります。私の場合、記事評価がいいことに加えテクニカルな興味が湧くと解明したくなります。

置いた感じはこんなです

16cmウーハー(2本)でこの容積で密閉型、普通に考えると再生帯域は100Hz程度までです。これで11Hzまで再生できるというのはどういうことだろうか?(ほんとだろうか?)という点です。

KEFのKC62

こちらが操作面

正面がこちら

電源ランプがある

このサブウーハーは両面にスピーカーコーン(アルミ)があって両面駆動です。そしてその磁気回路を共用しているという特徴があります。実物を見てみるとサブウーハー用のフィルターだけでなく、メインスピーカーの低域をカットするチャンデバも内蔵されており、非常によく考えられています。また置き場所によってイコライジング特性を変えることができるなど、よく練られています。

とりあえず使ってみた感じ

早速ぱっとおいて試聴してみました。聴いてまず感じたのは従来のサブウーハーにあるモタツキがまったくないことで、よくできたハイエンドスピーカーの低音と質感では何ら遜色はありません。今まで、音響効果を利用したサブウーハーなどは利用したことがありますが、どうしても重低域がブーミーになって、出るのはいいが耳障りな感じもして、使った効果が帳消しになる印象でした。ただ、このサブウーハーに関してはそういったデメリットがまったくありません。

又、さらにかなりの振幅をとっても、箱なりなども全くありません。非常によくできています。肝心の最低域ですが30-40Hz位までは出ている感じですが、カタログスペックの11Hzというところまではちょっとどうかなという感じです。要するに現在の設定では聴感上メインのスピーカーと同程度かちょっと伸びた最低域なので、サブウーハーの効果が絶大とまではいきませんでした。

もう少し壁側に置くか、入力電圧を上げてあげればより効果的かと思いました。いずれにしろ重低音の質が良いので、上手に使えばかなり行けるような気がします。

そもそもメインスピーカーと同じような口径で、しかもより小さいキャビネットに入れたものが、より低域まで再生できるのか?とお思いの方も多いかと思いますが。

なぜ小さい箱で超低域の再生が可能かというと、おそらくこういうこと

16cmウーハーを小さなキャビネットに入れた時の予想レスポンス

これをパワーアンプで強引に持ち上げてやればF0以下も再生できる

つまり、従来の常識であった大きな箱が必要というのはあくまで中高域に対してフラットな特性を得るためには?という前提で考えた場合で、サブウーハーの場合超低域のレスポンスが低下していても強引にイコライジングをかければ(超低域も音は少し出ているので)フラットな再生ができる。ということなのでしょう。

ただ、このサブウーハーはもともと小型スピーカーの最低域を補強することを前提に設計されているので、今回のメインシステムに利用するのはちょっと筋違いだったのかもしれません。

取り合えず今回のまとめ

いずれにしてもサこれまでのブウーハーの概念を覆えす実力の持ち主でこういった手法がハイエンドの主流になってもおかしくないと思える実力でした。つまり、この手のサブウーハーを一つ置いて、あとはB&Wでいえば805位の大きさのSPを使えます。これだとメインSPが小さいので、いろいろなメーカーのSPをそろえることが、予算的にもスペース的にも楽にできます。

これすなわち大昔(50年前の)の3D方式ですね(今の方は知らないかもしれませんが・・・)。

今後、周波数特性を実測するなどして、またご報告させていただきます。

Harbethハーベスを試してみました

(普段なら買わない製品を買って試してみたら その3)

経緯

最近のスピーカー(SP)は箱をがちがちに固めて振動しないようにして、ユニットはレスポンスの良くガンガン駆動するのが主流です。その一方で、逆に箱なりを利用しているかのような主流と反対路線のSPもあり、これもまた人気があるようです。たまにはこういったSPも試してみましょうということでHarbethの compact 7es-3というSPを中古で入手して聴いてみました。

印象

中古でスタンド込みで入手しました。中古とはいえ傷もなく、オーディオショップから購入して4年程度の良品でした。このSPはウーハーが20cmあり、そこそこの大きさです。ただ持ち上げてみるとびっくりするほど軽く拍子抜けします(13kgしかないのです)。最近のSPは見た目よりもずっしりと重いことが多いのですが、さすが路線が違うという感じです。スタンドもまるで小学校の椅子のような趣で、これまた非常に軽く設置はしやすいのですが、高さ調整がないので単に置いただけだとカタカタとします。

軽いのは非常に設置上ありがたく、腰も痛くならないので私としてはこれはこれで好印象です。

聴いてみて

見た目に反して中高域はやや硬いともいえる音がします。全体の外観からソフトドームと思い込んでいましたが、これハードドームでした。最近の超低歪のSPを聴いてきたからでしょうか、これ中域が結構濁る感じがします。

低域ですが箱が鳴るタイプですのでスパッと切れないんじゃないかと心配していましたが、そんな心配は無用でした。中低域は普通のSPよりも量感はけっこうあり、心地よいバランスになっています。ただ50Hz以下がほとんど出ていないように聞こえ、普段なら聴こえるバスドラムがスカッとなくなっている様です。感覚的には13cmウーハーです。量感は出るが低域が伸びないというちょっと残念な結果です。

アンプも種類を変えてみましたが、真空管アンプ(300B)で駆動した時にこのSPの良さが一番出るように思いました。

このSPをしばらく聴いてから、804D3やPL-200に戻すと音質自体はいいものの、かなり淡白な音で物足りない様にも聞こえるから不思議です。

ただHarbethの音というのは中高域の歪感や濁り、超低域の迫力不足がどうしても気になって、これを使い続けるのはアンプメーカーとしてはちょっと?という気がしました。

こういった箱の鳴りを利用するのは(というよりそこまでこだわらずに作ったら、結果的にこうなったということかもしれませんが)悪いことではなく、例えば中低域のミッドウーハーなどはこういった”鳴る箱”もいいかもしれません。現在のオーディオ界は何でもよく考えずに極める悪い癖があるので、反面教師としては面白いSPですし、もう少しセッティングに凝って、これに合うソフトなどをそろえるところまでやると、このSPの良さを満喫できるかもしれません。

最初は箱の鳴りというのは音源(楽器の音)に「響き」がすでに含まれているので、SPでさらに鳴りを加えたらおかしくなるのでは?と思っていましたが、実際にはそんなことはなく、魅力的な方向かもしれません。ただこのSPユニット自体の特性(特に高域)や超低域が出ないバスレフセッティングに、ちょっといただけないかなと私は感じてしまったということです。

おわかれ

アンプメーカーとしてはレファレンスあるいはサブとして使用できるようなタイプではなく、性能の良いアンプで鳴らすと逆にSPの粗が目立ってしまうような結果でした。

というわけで、このSPは1か月もたたない内に旅立つことになりました。趣味の合う人の下で余生を過ごしてほしいと思いました。

勉強になりました。

B&W 804D3を導入しました それでどうなの? その3 測定編

804D3にフレーム+スパイクをつけて劇的に良くなったことを報告しました。ここでは特性を測定した結果について報告します。

測定はREWとMyspeakerという2つのソフトを用いて行いました。マイクはUMM-6という測定用マイクです。REWは周波数特性はきれいに測定できるのですが、過度応答の測定結果が極めて疑わしい結果だったため、過度応答のみMyspeakerで測定しました。

周波数特性

マイクの位置はMidとツイーターの中間の高さで50㎝くらいの距離で測定しました。本当は1m以上離した方が良いのですが、あまり離すと部屋の影響が大きくなってしまいます。50cmという距離だと各ユニット間の距離差で多少つなぎ目でディップが出ます。

PL200

見事にフラットな特性です。200Hzのディップは床からの反射波との鑑賞の影響です。それ以外は大きな凹凸もなく、お手本のような特性で、普通の部屋でこれだけの特性が測れることが驚きです。理詰めでキチンと設計されていることがわかります。

804D3

こちらは結構でこぼこ荒れています。200Hzのディップは仕方ないのですが、kHz帯で結構暴れているのです。スピーカーの周りにデザイン上(?)リングを出っ張らせているので、周波数特性にも影響しているのだと思います。測定中に気づきましたが、ツイーターとスコーカーのつなぎ目の位相があっていないので(多分)、マイクの高さをずらした時の方が特性がフラットになります。

804D3(2)

804D3の特性をMyspeakerで測ったのがこちら。ほぼ同じ特性です。

DS-9Z改

参考までに、こちらはDS-9Z改の特性密閉なので低域は落ちていますが、結構フラットでした。

過度応答特性

最初にお断りしておきますが、過度応答特性はどうも測定するたび(日が変わるたびに)に結果が大きく変わる様に思います。どれだけ信ぴょう性があるかわかりませんので、あくまでこんな絵が撮れました程度に考えてください。

PL200

1kHz以上の応答が見事ですぐに消えています。低域はもともと秒を単位にとるとどうしても長く残るので波数で表現したいところです。このツイーターはハイルドライバ型で、トランジェント特性が極めて優秀な点が反映されていると思います。

804D3

PL200に比べるとkHz帯で多少長引きます。ちなみにこの特性はフレーム(台座)を作る前に取りました。

8040D3(フレーム付き)

フレームを追加した後に測定したのがこちらです。なんと高域のトランジェントが大幅に悪化しています。これが測定上の問題なのか、本当にそうなのか不明です。

DS-9Z改

ついでにDS-9Z改のスペクトル応答を。高域はなんと804D3よりも立派です(ほんとか?)。ただの安いシルクドームツイーターなのに・・・。

ということで、興味本位に測定してみましたが、測定上良いものがいい音ということではありませんので、ああこんな特性も取れるのね、くらいに見ていただければと思います。特に過度応答については聴感上とあまり相関がないので、今後も検討していきたいと思います。

B&W 804D3を導入しました それでどうなの? その2 フレーム自作編

1月にB&W804D3を導入して2カ月が経ちました。その間少し進捗がありましたので紹介します。

導入後やったこと 

これまでに行ったことは次の3点です。

1.エージング

2. バイワイヤリング

3. 台座を作ってインシュレーター設置

以下詳細に説明します。

1. エージング

前にも紹介しましたが、エージングを行いました。エージングといっても通常の音量で行うと何年もかかる場合はありますので、爆音で加速度的なエージングを行いました。爆音にすると苦情が来る可能性がありますので、高音域だけとしてツイーター周りにクッションを設置します。通常の大音量試聴のさらに数倍の音量でツイーターの慣らしを行ったつもりです。1日で相当の効果がありました。

ちなみにCDM7ーNTは数十年経って良くなった   ・・・なので普通のエージングで待ってはいられない

ちなみに数十年前に購入したCDM7-NTは数十年経って相当良くなりました。低価格機種ですのですべてがよいわけではないのですが、そのなりっぷりは大したもので、帯域のバランスの良さ(最高)、高域のすがすがしさ(ちょっとアルミ臭いが)、豊かな低音(ちょっとゆるいが)は手放すのが惜しいくらいでした。このスピーカーは最初はアルミ臭い高音が目立ってはっきりした音は出ていたのですがそれほどいいとも思えませんでしたが、数十年たってよくなってきた気がします。

2. バイワイヤリング

基本的にあまりケーブルには凝らないタイプなのですが、手持ちのバイワイヤリングができるケーブルに変えてみました。これは今までに試したバイワイヤリング接続の中でも一番音が変わりました。中高域の雑味が消えて(もともと雑味があるように聞こえていたわけではないのですが)上品になりました。結構な変わり方で、これはもうバイワイヤリング指定ですね。ちなみにパワーアンプ側が通常の1ペア(+と-)でスピーカー側が2ペア(+x2,-x2)の端子がついているワイヤーワールド社のEquinoxを使用しました。

スピーカー側バイワイヤリング用端子
アンプ側(シングルエンド端子)

3.オリジナルの台座を追加

804D3の底部ネジ穴はかなり内側に付いているのでスパイク足の取り付けが外からは困難で、しかも(おそらく)不安定です。付属のゴム足を取り付けた状態ではいつ倒れるか心配で仕方ありませんでした。そこでアルミのフレームを製作してスパイクが外に出るようにしました。

アルミは12mm厚で外側にM6(付属スパイクサイズ)とM8のネジを切り赤くアルマイト処理してみました。

本体がRを描いているのでもっと丸みを帯びた形状の方がデザイン的には良かったかもしれません。まあ今回は試作みたいなものです。

このフレームをM6ボルトでスピーカー底面に取付けてから、外側にスパイクを設置したのがこちらの写真です。

フレームを追加した足回り
後ろから

全体としてはこんな感じです

このように設置すると予想以上に京子、じゃなかった強固な設置となり、スピーカ上部を揺らそうとしてもピクリともしなくなりました。

肝心なのは音ですが、これはもう激変(といっていいかも)。低域が豊かになりその結果、高域の強い癖”あくが”目立たなくなった気がします。低域不足で迫力がなかったのが、それが全く気にならなくなり、鳴りっぷりも立派なものになった気がします。高域の独特の癖はまだかなりありますが、さらにエージングしていけばもっとよくなるでしょう(ちなみに加速エージングはまだ1日しか行っていません・・・多忙なので・・・)。

804D3設置後の工夫のまとめ

以上最近804D3に対して行った3つの工夫を紹介しました。その効果、インパクトはおよそ、

エージング 3

バイワイヤリング 1

フレーム+スパイク 10

位の割合でしょうか。

おかげで804D3もだいぶ聴けるようになってきました。

オーディオデザイン現在の装置構成

これまでもブログなどでこまごまとお知らせしてはいますが、現在使用している装置構成をまとめて説明したいと思います。

現在の構成はこんな感じです。

システム全景(フォノイコは雑誌取材で貸し出し中)

SPはDynaudioのConfidenceC4を手放して、中小型スピーカーを置いています。この大きさはダンボール箱の梱包で車に積みやすいサイズです。さすがにC4の様なオーケストラのスケール感は出ないので、将来的には30Hz以下の増強をしたいと考えています。804D3は多少エージングが進んでだいぶ聞ける音になって来ました。足元のスタンド設計して追加すればもっと立派になると思います。

スピーカーはPL-200と804D3

他にElacの330CEもあります。

アンプ類は当然自社製でDACはDCDAC-180とDCADC-200になります。200の方は実験的に中を相当いじっています。CDプレーヤーは東芝のSD-9500というDVDプレーヤーです。ハイレゾやHDCDをDVDaudioに焼いてハイレゾフォーマット(最大192kHz24bit)でSPDIF出力できる様になっています。

ファイル音源の再生にはAudirvana(MAC)を使用iPadAirで遠隔操作も可能

MACはNAS音源をWIFI経由で再生できている(と思う)

DACのUSB端子にはMACbookAirを接続しています。windowsはドライバーが必要であったり、更新に時間がかかるのでMACの方が手間をかけずに安定的に再生できます。MACに使用している再生ソフトはAudirvabaPlusというもので、Plusが付くと有償(74USD)ですがそれほど高くないのでお薦めです。Audirvanaは音質的にも優れていますし、プラグインで緻密にコントロールできるパラメトリックイコライザなどもあって便利です。音源はNASに保存されていてWifiでMAC接続されています。またipadAir(第5世代でAudirvanaの再生制御ができますので、選曲はソファでipadで行うことができます。

レコードプレーヤーはパイオニアのPL-50LⅡ(サブ)とヤマハのGT-2000になります。カートリッジは別のブログでも紹介していますが、現状一番手はGOLDRINGのEthosになります。

レコードの洗浄機はiqualのCleanMateとKirmuss Audio KA-RC-1を使い分けています。

左の超音波洗浄機KA-RC-1が一番汚れが取れます。手軽な洗浄はCleanMate

以上ざっと現在のシステムを紹介しました。