【オーディオバカ100】プリアンプ不要論の罠!パッシブプリで音が悪くなる本当の理由


YOUTUBEの「オーディオバカ100」の内容を要約して紹介してみたいと思います。 今回のテーマは、ズバリ**「プリアンプの存在意義に気づかないバカ」**です。

(※例によって「オーディオバカ100」というのは、高城重躬先生の「オーディオ100バカ」にあやかってつけており、特定の個人・団体をバカにするものではありませんのであしからず。)

先日、ある知人の方から「パッシブプリとプリアンプ、その考え方について深掘りしてほしい」というリクエストを頂きました。 電源や増幅回路を持たない「パッシブプリ」の方がシンプルで音が良いのか?それとも「アクティブなプリアンプ」が必要なのか? これは現代オーディオにおいて非常に良いテーマですので、詳しくお話ししてみたいと思います。

かつてプリアンプが「必須」だった理由

そもそも50年ほど前、ステレオ再生においてプリアンプには多くの「必然性のある機能」が盛り込まれていました。整理すると、主に以下の6つです。

  1. 電圧増幅:当時の主力音源であるレコード(フォノ)やチューナーの出力は電圧が低く(0.5V程度)、パワーアンプを駆動するために増幅が必要でした。特に真空管時代はゲイン(増幅率)が稼げないため、プリでしっかり増幅する必要があったのです。
  2. フォノイコライザー:音源といえばレコードでしたから、フォノイコライザー機能は必須でした。
  3. 入力切替:レコード、チューナー、テープなどの切り替えです。
  4. テープデッキ用回路:昔はエアチェック(FM録音)やレコードのダビングのために、録音出力やテープモニタースイッチが重要でした。
  5. トーンコントロール:録音状態の悪いソースも多かったため、バス・トレブルの調整機能が「絶対」についていました。
  6. 音量調整:ボリューム機能です。

現代のデジタルソース環境における変化

ところが現代、CDプレーヤーやDAC、ストリーミングが主流の時代になり、事情は変わりました。

  • 出力電圧:CDやDACは2V〜4Vもの高出力があり、電圧増幅は不要になりました。
  • フォノイコ:単体機やレコードプレーヤー内蔵が主流になり、プリに必須ではなくなりました。
  • テープ・トーンコン:テープは使われなくなり、ソースの質も向上したためトーンコントロールも省かれる傾向にあります。

こうして引き算していくと、現代に残った必要な機能は**「入力切替」「音量調整」**だけということになります。

「それならパッシブプリでいいのでは?」という理論

ここで登場するのが**「パッシブプリ」**です。 電源もアンプ回路も持たず、単に入力切替スイッチとアッテネーター(ボリューム)だけで構成された箱です。

「アンプ(増幅回路)を通さないのだから、音質劣化がなくて一番ピュアな音がするはずだ」 「理論的にこれこそ理想だ」

そう考えてパッシブプリを導入される方がいらっしゃいます。 実は弊社でもかつて、最高級のアッテネーターを使ったパッシブプリを製品化していたことがありました。

しかし、多くのお客様の反応や実体験から導き出された結論は、**「普通のプリアンプの方が音が良い」**というものでした。

パッシブプリの音質的欠点と「雑味」

パッシブプリを使うと、多くの方が共通して次のような感想を持たれます。

  • 音がギラギラする
  • 高域(特にサ行)がきつく、耳につく
  • 中高域に独特の「雑味」が乗る
  • なんとなく安物のデジタル機器を聴いた時のような刺激的な音がする

逆に、良質なアクティブ回路の入ったプリアンプを通すと、音が落ち着き、子音のきつさが取れ、さらに**「低域の押し出し」「ダイナミックさ」**が加わります。

理論的には説明が難しい部分です(強いて言えば、ボリュームを通ることで出力インピーダンスが数kΩに上がり、ノイズの影響を受けやすくなる可能性などは考えられますが)。 理屈はどうあれ、現実に聴き比べると、アンプを通した方が圧倒的に音楽としてまともな音になるのです。

パッシブプリを基準にするリスク

私が一番懸念しているのは、**「頭で考えてパッシブプリが良いと思い込み、それを基準にシステムを構築してしまうこと」**です。

パッシブプリ特有の「ギラつき」や「音の細さ」を解消しようとして、 「ケーブルを変えてみよう」 「スピーカーのセッティングを変えよう」 「DACを変えよう」 と調整していくとどうなるか。

パッシブプリの**「癖」を打ち消す方向にシステム全体を歪めて整えてしまう**ことになります。 そうなった状態で、後からまともなプリアンプを導入すると、今度は「音が大人しすぎる」「物足りない」と感じてしまい、何が正解かわからなくなってしまいます。

まとめ

オーディオは理論や数値だけでは表せない部分がたくさんあります。 「回路がない方がピュアなはず」という理屈だけで走ると、落とし穴にはまることがあります。

一時的に実験としてパッシブプリを使うのは面白いですが、それが持つ「雑味を乗せてしまう性質」や「リスク」を認識した上で扱ってください。 長く良い音で楽しむためには、やはり良質なプリアンプをシステムに入れることを強くお勧めします。


(※この内容はYouTube動画でも詳しくお話ししています。)

本内容はYouTube動画の下記内容をAIで文章化し修正したものです。

間違いだらけのスピーカーセッティング(4) 周波数補正の結果、音はどうなったか?!

前回まででREWで周波数補正フィルターを制作しました。今回はいよいよ音楽再生ソフトRoonに導入して試聴した結果を報告します。

Roonへの補正フィルター導入方法

スピーカーのアイコンをクリックして、ポップアップした画面のくねくねしたマークをクリックすると下の様な補正画面が開きます。

この中で畳み込みフィルター(Convolution Filter)を有効にしてREWで作ったインパルス応答波形を読み込ませます。(畳み込みフィルターが表示されていない場合は追加します。)

補正の有無による特性の変化

周波数補正の有無による周波数特性

補正をすると特に低域の定在波によるピークが平坦化されていることがわかります。谷は補正できません。

周波数補正の有無による累積スペクトル特性

100Hz 以下の定在波によるピークが無くなることで、秒で残る余計な音はなくなりました。

試聴した結果

補正した音は確かにすっきりするのですが、低域の迫力が無くなって寂しい音でした。定在波の悪影響が無くなったかわりに、大事なものも失ってしまったのです。

そこで一工夫

そこで周波数補正をした状態で、低域を持ち上げてみました。

Roonのパラメトリックイコライザーで100Hz以下を3,4dB持ち上げてみました。

すると失われていた低域の押し出しの気持ちよさが戻ってきました。周波数補正をしているため、低域の特定のピークが無くなったため、ブーストしても違和感がありません。

終わりに

結論として、周波数補正で定在波の影響が出ないようにしたうえで、寂しくなった分をブーストすると、低域の歯切れの悪さを感じることなく、迫力が出て総合的に良くなりました。

周波数補正もただフラットにすればいいというわけではなく、総合的な試聴上のバランスを保ちながら行うことが大事だという事がわかりました。

間違いだらけのスピーカーセッティング(3) REWによる周波数補正フィルターの作り方 

前回フリーソフトのREWでスピーカーの周波数特性を測定しました。今回はREWを使用してRoon用の周波数補正用のフィルターの作り方を紹介します。

REWによる補正フィルターの作り方

REWで測定した後(あるいは測定データを読み込んだ後)、右上のメニューにEQボタンがあるので、そこをクリックすると別画面でEQウィンドウが開きます。

フィルターの制作

EQウィンドウでは右上にメニューバーがありますので上から順番に処理していきます。

EQ Genericではメニューにある特定のDSP機材を使用する場合に選択しますが、今回はGenericのままでOKです。

Target Settingをクリックすると以下の画面が開きます。

特定の周波数特性を指定したい場合はHouse Curveを入力します。目標の周波数特性がフラットで良ければ特に指定する必要はありません。

次にCalculalte target level from response をクリックして、合わせる音量レベルを設定します。ボタンを押せば平均値のところにTargetLevelが青線の様に設定されます。

次にフィルターの制作に移ります。FilterTasksメニューのMatchRangeで周波数特性を合わせこむ範囲を設定します。ブーストとして許容する値、合わせこむ精度FlatnessTargetなどを設定した後、Match response to targetを押すとフィルターの自動計算を始めます。

計算が終了するとフィルターで補正した後の周波数特性が表示されます(表示されない場合はPredictedをチェックして表示させます)。

定在波によるピークが無くなってフラットな周波数特性になっていることがわかります。

よければ作成したフィルターをSave filter coefficients to file でsaveします。

これでフィルターの制作は終わりです。

L,Rそれぞれにフィルターを制作したらメインメニューに戻ります。

インパルスフィルターの書き出し

次にREWのメインメニューで、先ほど制作した周波数特性LとRを表示させます。この時余計な周波数特性があると、あとでエラーになるので必要な特性だけを残しておきます。

REWのメインメニューのファイルからExport/Export Filters impulse response as wavを選択します。

するとFilters impulse response export 画面が開きますので、先ほど制作したフィルターのファイル名を指定します。最後にOKを押してexportします。

終わりに

慣れてしまえばむずかしい作業ではないと思います。

これでRoonに入れるフィルターの制作は完了しました。次は実際にRoonに入れて試聴してみます。

間違いだらけのスピーカーセッティング(2) 周波数特性の測定とその解析 

今回はスピーカーシステムの周波数特性を測定し、得られた特性の解釈について説明します。

試聴エリアのレイアウト

壁が斜めなので必然的に非対称配置になります。

スピーカーの至近距離で測定した周波数特性(部屋の影響が最小)

今回からMySpeakerではなくREWを使用しました。測定結果はほぼ同じ特性が得られています。MySpeakerの方がニュアンスが正確にわかって好きだったのですが、REWの方がはるかに便利です。

部屋の各位置での周波数特性

定在波効果と反射波による谷

周波数特性で50Hzと80Hzに大きなピークが各所に見られます。これは定在波効果によるものと考えられます。

また100-200Hz近辺に鋭い谷が見られますが、これは反射波によって音が打ち消されているためと考えられます。

定在波は100Hz以下の低域ですので普通の吸音材では解消できません。解消するには発生の原因となる壁にBassTrapを設置する必要があります。

また反射波に関しては反射している壁に吸音材を設置するか、拡散板を設置するのが有効と考えられます。

これらの部屋の音響特性の改良は大変な作業(工事)になりますので、一旦これで保留として、デジタル補正による周波数特性の改善を試みてみたいと思います。

これらの内容は以下の動画で詳細に解説しています。

間違いだらけのスピーカーセッティング ー左右対称にSPを置くのは間違いー

YouTubeに投稿した動画の内容ですが、私の考えるスピーカーセッティングについて、改めて簡単に説明させていただきます。

よく言われる常識的なスピーカーセッティングについて、ちょっと疑問に思うことが良くあります。例えば以下の様な内容です。

  1. スピーカーを対称に置く!
  2. 定在波のことを考えて配置する!(定在波よりまず反射)
  3. 専用のxx式リスニングルームを造る!
  4. リスニングルームに物を置かない!
  5. 定在波対策に市販のBassTrapを使う!
  6. 縦長配置ではなく横長配置にする!

その理由について説明します。

1. スピーカーを対称に置く!(これは間違いです!)

意外と思われる方も多いと思いますが、SPは対称に置かない方が音は良くなります。

完全に対称に設置すると、当然のことながら左右の周波数特性は同じになります。部屋での周波数特性が完全に平坦であればいいのですが、近くに壁がある以上反射の影響で数百ヘルツに大きな谷ができます。壁から反射した音の位相が逆相になるからです。

通常50cmから1m程度壁から離れている場合100-300Hzあたりに大きな谷ができます。子の帯域は低音の心地よさを支える最も大切な帯域で、この帯域が不足すると音の細い、寂しい音になってしまいます。

左右に非対称性があると、この落ち込む帯域が変わるのでL+Rで再生した場合に平均化されるので、この低域の落ち込みがかなり改善されるのです。

当社の現在の配置での実測データを示します。左右異なる特性が得られていますが、結果的に左右同時に鳴らして測定したデータの方が平坦化されていることがわかります。

(左右対称ですと当然のことながら左右の特性は同じで、L+Rも同じ周波数特性になります。)

非対称に配置されたSPの周波数特性

Lch,Rch単体よりもL+Rの周波数特性が平坦なことがわかります。

Dynaudio Special40 Right の周波数特性
Dynaudio Special40 Left の周波数特性
Dynaudio Special40 L+R の周波数特性
測定した部屋のレイアウト(完全に非対称)

左右の定位について

ここで皆さんが疑問に思うのは、定位がずれるのでは?という事でしょう。

結論から言うと全く問題ありません。音像の定位は主にkHz帯の高域で決まるからです。たとえベースの低音域の音も定位は根音あたりではなく、高域のkHz帯で決まっています。ですので中高域の音が左右そろっていれば問題ありません。中高音は左右に広がらず、直進する性質があるので、ちょっと内ぶりにしておけば壁の影響はほとんど受けないからです。

それでも左右の壁の非対称性が気になる方は(聴感上は問題ないのですが)、左右の壁を吸音性にすれば問題は解決されます。

実際当社の以前の事務所は、結果的に片側が壁、もう一方が空間という完全な非対称でしたが、音像はSPの中心に定位していました。

という事で、一見左右非対称に設置したほうが理想的と思いがちですが、それはある種最悪の設置方法ですよという一般論と真逆の説について解説しました。

この内容は以下のYouTubeでも解説しています。